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岡田監督が選手を一喝、「ビビリながら挑戦するなんて馬鹿げたこと」

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 W杯を楽しめ――。岡田武史監督は合宿初日のミーティングでW杯を戦う上での心構えを選手に説いた。

 「W杯は素晴らしい舞台で、それにチャレンジできるというのはすごいことだ。勝てなかったらどうしようとか、そんな不安を抱えて行くところじゃない。ビビリながら挑戦するなんて馬鹿げたこと。今やるべきことは、心配することではないだろう。そんなのは終わってから考えればいい。今やるべきことをやろう」

 ドイツ大会を経験しているベテラン選手は4年前の悔しさを忘れていない。10年に入って結果が出ていないこともあるだろう。いよいよ本大会というタイミングで、ネガティブな言葉、表情の目立つ選手を一喝したのだ。

 岡田監督の言葉の裏には、明確な根拠がある。「サッカーのような集団スポーツで日本が世界で勝つときというのは、チームがひとつになり、何かしら選手たちの中から出てくるモチベーションのようなものがある。それは日本にしかできないことでもある」。個々の能力ではかなわない世界の強豪を相手に、日本が番狂わせを起こすのは、チームが一丸となり、通常では考えられない力を発揮したときだと岡田監督は言う。「99年の世界ユースとか、02年のW杯もそうだった」と力説した。

 MF中村俊輔も指揮官の言葉に同調する。「奇跡、ミラクルが起きるときは、チームがひとつになっているとき、味方のケツを拭くくらいのときだから。犠牲心だったり、リスペクトだったり、そういうのが必要。例えば、世界ユースで2位になったとき、播戸がトルシエの真似したりね。播戸は活躍しなかったけど、必要なんだよね。プレースタイルじゃなく、人間性の問題」。チームが本当の意味でひとつになることの重要性。それは4年前の教訓でもある。

 DF中澤佑二はミーティングの内容について「W杯に向けて、戦う集団にしていこうという話だった」と明かした。岡田監督からは「W杯はビクビクしながらやる大会じゃない。伸び伸びと楽しくチャレンジする場で、なんでそんな重い空気で行かなきゃいけないんだ」とまで言われたという。

 「監督が言う通り、苦しむために行くわけじゃない。いろんなプレッシャーはあるけど、それをエネルギーに変えて、一致団結してやりたい」。まずは24日の韓国戦。東アジア選手権のリベンジを果たし、気持ち良くスイス合宿へ飛び立つ。

(取材・文 西山紘平)

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