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元気のない俊輔、「先発フル出場に執着はない」

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 MF中村俊輔に元気がない。5月31日の練習試合では4-4-2の右MF、4-2-3-1のトップ下でプレーし、2得点。故障を抱える左足首に関しても「全然大丈夫。一応テーピングをしているけど」と不安を一蹴したが、その表情は決して明るくない。

 1日の午後練習では終始、左MFでプレーした。MF大久保嘉人が別メニューだったことも影響しているとはいえ、これまで自分が主戦場としてきた右MFにはMF本田圭佑とMF松井大輔が入った。岡田武史監督は「俊輔は右でも左でもプレーできるから」と説明したが、右MFが中村俊にとって不動のポジションではなくなってきたことも如実に示していた。

 5月30日のイングランド戦に象徴されるように、チームの守備戦術はある程度リトリートしてから守備ブロックをつくり、そこからプレッシャーをかける形に変わってきた。最も運動量が求められるのはサイドハーフ。守備では自陣深くまで戻り、マイボールになれば、長い距離を走って攻撃に絡まなければならない。

 「4-1-4-1だと両サイドはきつい。低い位置からになるし、本田も(大久保)嘉人も、DFをやってMFをやってフィニッシュもやってという感じだった。全部やるつもりじゃないと勝てない。あとのことを考えず、つぶれるぐらいじゃないと。サイドハーフがつぶれないと、機能しない。足が止まったら交代すればいいし」

 イングランド戦は出番のなかった中村俊だが、自分と同じポジションでプレーしたMF本田圭佑とMF大久保嘉人にかかる負担の大きさは実感していた。4日のコートジボワール戦はダブルボランチの4-4-2または4-2-3-1に戻る可能性が高く、「4-4-2ならサイドハーフはもっと低くなるしね」と、より守備の時間と運動量が求められることも覚悟している。

 「W杯で全試合先発してフル出場する自信はあるのか?」。報道陣からそう聞かれた俊輔は「まったく考えてない。そういう執着はない」と答えた。チームのためになるのであれば、途中交代になっても、あるいは途中出場でも構わない。俊輔の言葉は、ひとつの時代が終わりつつあることも感じさせた。

(取材・文 西山紘平)

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