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[戦評]五輪予選への展望が開けてきた(日本vs.UAE)

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[11・25 第16回アジア競技大会決勝 日本 1-0 UAE 中国・広州]

田村修一の「視点」

 アジアタイトルを獲得した今回のU-21日本代表は選手の能力はあまり高くないチームだったのかもしれない。でもこのチームのまとまりは強みだった。

 またイラン戦もそう感じたが、非常に落ち着きのあるチームであった印象だ。この試合は2回ゴールマウスに助けられたけど、パニックに陥る場面がなかった。誰かがポカしても全然慌てる素振りを見せない。攻撃陣がミスしたり、悪い取られ方をしても焦らずにカバーしていた。

 決勝に関しては、韓国戦で120分戦っているUAEに対してフィジカル面で上回った。またUAEが日本を警戒し過ぎてか、韓国戦ほどアグレッシブに来なかった。だからイラン戦よりも楽な戦いができていた。いろいろな要素がいい方向へ向いた勝利だった。

 彼らがこの先の舞台へ進むことができるかは分からないが、とにかく勝ったことは大きい。五輪代表として立ち上げの大会で結果を出した。タイトルのなかった関塚監督にとっても自信になったのではないか。また関塚監督は試合後の囲み取材で「メンバー落ちだったとはいえ、ひとつの形を残したのだから踏襲していく。(五輪代表の)ベースになると思う」と話していた。「落ちるメンバー」と評価されていた彼らは五輪予選のメンバー争いに参加する資格を勝ち取った。

 実際永井(謙佑)は能力が高いと思う。スピードとテクニックは群を抜いていたし、今大会のトップストライカーのひとりだった。日本は決勝でセットプレーによって1点取ることができたけれど、セットプレーを除くと正直なところ永井がどうにかするしかなかった。明らかにチームの軸になっていた。

 その他にもGKの安藤、キャプテンを努めた山村、左SBの比嘉がいいプレーをしていた。CBの薗田も安定していたと思う。
 今回のアジア大会と五輪予選は全く別物。またメンバーが入れ替わったらチームも変わってしまうかもしれない。ただ、今回の優勝によって五輪予選の展望が開けてきた感触はある。

(取材 フットボールアナリスト田村修一)
第16回アジア競技大会特設

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