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“オウンゴール”を帳消しにする劇弾、代表初ゴールの吉田「闘莉王さんなら3点取ってた」

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[1.9 アジア杯B組 日本1-1ヨルダン カタールスポーツクラブ]

 最後の最後にチームを救った。0-1の後半47分、敗色濃厚のロスタイムにDF吉田麻也(VVV)が劇的な同点弾を叩き込んだ。

 左CKのチャンスにMF香川真司が素早いショートコーナーでMF長谷部誠に預けると、長谷部の左クロスにファーサイドから走り込んだ吉田が打点の高いヘディングシュートを突き刺した。

 「練習通り。ファーに行って、相手がボールウォッチャーになっていた。ボールもすごいよかったし、触るだけだった」

 ザックジャパン初黒星を免れる起死回生の一撃が吉田にとっては国際Aマッチ2試合目での初得点だったが、「状況が状況だったので、感慨深いものはなかった」と苦笑い。実は同点ゴールの直前、ベンチのザッケローニ監督に「自分が前に残るべきか」と自ら確認したという。

 指揮官の言葉は「前に行け」。ゴールはセットプレーからだったが、その後も前線に残り、「もう1点、狙いにいった」。試合終了直前の後半49分にはMF遠藤保仁のロングフィードを吉田が頭で落とし、ゴール前のFW李忠成にボールが渡ったが、シュートを打ち切れず。吉田は「得点のあとは勝手に残っていた」と笑ったが、前線に生まれた高さが、あと一歩で勝ち越しゴールという場面をつくった。

 ミスを帳消しにした。前半45分、まさかの先制点を許した失点シーン。MFハサンのシュートに対し、吉田が左足を伸ばすと、ボールはつま先をかすめてコースが変わり、GK川島永嗣も反応し切れなかった。

 「アンラッキーの部分もあったし、もっと予測できた部分もあった。ああいう遅れた状況で足を出すと、ああなることもある。試合後に(川島)永嗣クンと話したけど、自分がファーのコースを切って、ニアは永嗣クンに任せてもよかった」

 痛恨の失点だったが、すぐに気持ちを切り替えた。川島は「本人にも思うところがあっただろうから、逆に点も取れたんだと思う。あいつは引きずるタイプじゃない」と言う。ミスを取り返そうという執念が最後の劇弾につながった。

 「チームとしてももっと点を取れたと思うし、僕自身にもチャンスがあった。闘莉王さんなら3点ぐらい取っていた」。引き分けという結果に満足するわけにはいかない。「初戦だし、僕自身、代表で2試合目。アジアで勝つのは難しいなとあらためて実感した。次のシリアも引いて守ってカウンターを仕掛けてくると思う。次も点を取れるように。その前にまずは失点しないようにしたい」。次戦は13日のシリア戦。この日得た経験を生かし、次こそは完封勝利でチームに貢献する。

[写真]日本代表DF吉田

(取材・文 西山紘平)

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