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YouTubeで繰り返し見た優勝弾、李「何度見ても飽きない」

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 あらためて優勝弾の重みをかみ締めた。29日のアジア杯決勝・オーストラリア戦で延長後半4分に決勝点を決めたFW李忠成(広島)は一夜明けた30日、ドーハ市内の宿舎で取材に応じた。

 「昨日はうれしすぎて実感がなくて、自分のゴール、アジア杯の優勝をかみ締めることができなかった」。そう振り返ると、「時間がたって、ゆっくりして、ほんとにすごいことをしたんだなと思った」と、実感を込めて言った。

 前夜は興奮が冷めず、なかなか寝付けなかった。「睡眠時間は2時間ぐらい。(午前)7時ぐらいまで起きていた。YouTubeで自分のプレーをずっと見てました」と笑った。「すげーなって。何度見ても飽きないなって」。DF長友佑都の左クロスに対し、一瞬、ニアに動いてDFを引き付けると、ファーサイドに逃げ、フリーで合わせた。

 「ほんと決められてよかった。完全にフリーだったし、もし外していたら今頃……。いろいろ考えるとゾッとする。人生は怖いなって。本当に紙一重。もし、あと1cm、甲の下にいってたらダフッていたかもしれない。よく打ったなと。第3者的にほめたいです」

 冗談めかしながら笑みの絶えなかった李にとって、利き足の左足で決めたボレーシュートの持つ意味は特別だった。

 「小学1年生ぐらいのころからおばあちゃんにボールを手で投げてもらって、1時間ぐらいずっとボレーシュートの練習をしていた。小学3年生のときに一度、おばあちゃんに当てちゃったこともあったんだけど、本当に感謝している。おばあちゃんのおかげです」

 大会初戦のヨルダン戦に途中出場し、A代表デビュー。そして、国際Aマッチ2試合目で決めた初ゴール。一躍、時の人になった。「大会の初日に自分がスタメンじゃないことが分かったときから、ラッキーボーイにならないといけないと思っていた。優勝にラッキーボーイは不可欠。『俺はヒーローになる、ヒーローになる』と毎日、心の中で思っていた」。有言実行の一発。だからと言って、ここで立ち止まるわけにはいかない。

 「俺はエリートでもないし、自分で道を切り開いていかないといけない立場にずっといた。結果は覆せない。FWとして、そこを追求しないといけないし、これからも結果で道を切り開いていきたい」

 そのためにも、まずは3月に開幕するJリーグだ。「広島でスタメンを張るのは簡単じゃない。まずスタメンを取って、Jリーグにコンスタントに出て、点を取らないとアピールできない。去年みたいに1試合1点取ることを開幕からやっていきたい」。FW前田遼一、FW森本貴幸に叩き付けた“挑戦状”。FW3番手の男がザックジャパンのエースへ新たな戦いに挑む。

(取材・文 西山紘平)

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