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U-17W杯開幕まで2ヵ月弱、U-17代表がスロバキア遠征で“最終テスト”

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 6月18日開幕のU-17W杯メキシコ大会へ向けて準備中のU-17日本代表は、あす28日からスロバキア遠征を行い、スロバキアカップに出場する。遠征出発を翌日に控えた27日に千葉県成田市内に集合した選手たちは、早速フィジカル測定とミニゲームを行い、W杯前の最終テストとなる海外遠征に備えた。

 U-17W杯開幕まであと2ヵ月を切った。3大会連続の出場となるU-17日本代表だが、MF宇佐美貴史(現G大阪)、FW宮市亮(現フェイエノールト)、MF柴崎岳(現鹿島)ら“プラチナ世代”が出場した前回大会は、優勝したスイスと3-4の撃ち合いを演じるなど健闘したものの3戦全敗。まだ組み合わせは決まっていないが今回も厳しい戦いが予想される世界舞台にU-17代表はどのように挑み、結果を残すのか。

 3月末から行ったメキシコ遠征でチームは、CFを置かずに中盤と前線に位置する選手たちがポジションを固定せずに次々とスペースをつく「ゼロトップ」システムを採用。また大型SB鈴木隆雅(鹿島ユース)を前線で起用するなど、本番を想定したチャレンジも行われた。
 今回の遠征ではW杯へ向けて最終段階となってきたチーム作りの仕上げとともに、5月6日に締め切られるW杯登録メンバー入りをかけた最終テストとなる。それだけに選手たちはそれぞれのテーマを持って遠征に参加。エースFW南野拓実(C大阪U-18)は「前の遠征からなかなか勝てなくて、ずっと負けが続いているので、この遠征でしっかり勝ちたい。自分は結果を残して、6月のW杯に向けて、本番モードに切り替えてやっていきたい」。また昨秋のAFC U-16選手権で主将を務め、今回が1月の候補合宿以来の代表復帰となるMF早川史哉(新潟ユース)は「自分のよさである前に向かって攻撃を仕掛ける部分をいかして貢献したい。結果としても優勝を目指したい」と意気込んだ。

 この日行われたフィジカル測定のシャトルランでは、チームメートたちの声援の中でDF新井純平(浦和ユース)をトップにMF室屋成(青森山田高)、MF秋野央樹(柏U-18)が好記録。また助走なしの「5段跳び」では高い身体能力を持つジャマイカ系FW鈴木武蔵(桐生一高)や元テコンドー日本一のCB植田直通(大津高)が力強い跳躍を見せ、他のチームメイトたちを驚かせていた。

 その後のミニゲームでは左膝の負傷から復帰したばかりの鈴木武のみ参加を見送ったが、他の20選手が出場。周囲の動きを活用しながらスペースをついたり、動き出しを見逃さずに一本の縦パスでディフェンスの背後をとるなど、短い時間、狭いピッチの中でも攻守の連動を意識したプレー。その中で南野がゴールを奪ったほか、初招集となる静岡学園高の“トリックスター”長谷川竜也がMF喜田拓也(横浜FMユース)とのコンビでゴールを連発するシーンが見られるなど、明るいムードのまま練習を締めくくった。

 アジア予選では27人で直前のヨルダン合宿を行い、そこから登録の23人に絞って大会に参加。だが6月に米大陸で予定しているW杯直前合宿は時差調整を主な目的としているため、W杯の登録メンバー21名が参加して、そのままW杯に臨むことになりそうだ。実戦で実力を試す機会は今回が“最後”。ただチームは2月に行った国内合宿でのJクラブとの練習試合、そしてメキシコ遠征と黒星が続き、結果が出ていない。最終テストの場に選択されたスロバキアカップでの対戦相手はU-18スロバキア代表、U-18クロアチア代表、U-18ノルウェー代表と年上の相手との戦いが続くが、ぜひ結果もほしいところだ。

 植田は「きょうよくなかったのでスロバキアではフィジカル上げて頑張っていきたい」。またディフェンスの要、CB岩波拓也は「(スロバキアカップは)ひとつ上の大会なんですけど、重要な大会なので勝ちにこだわってやってきたい」と宣言。94年生まれ以降の世代で結成された「94JAPAN」はスロバキアカップでU-17W杯への弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)

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