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栃木 MF杉本「自分にとっても大きな1点」

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[9.2 J2第32節 横浜FC 1-3 栃木 ニッパ球]

 立ち上がりから主導権を握った栃木SCに、開始13分、ビッグチャンスが訪れる。スローインからのリスタートで4試合ぶりにスタメン出場したFWサビアが落としたボールが、MF菊岡拓朗の前に転がる。菊岡は、ゴール前のスペースに入っていたMF杉本真にダイレクトでパスを入れた。パスを受けた杉本は、DFをシュートフェイントでかわし、先制ゴールを決めた。横浜FCのMF佐藤謙介が「完全に相手のやりたいことにはまった。先制点が早過ぎた」と唇を噛んだが、昇格を争いに加わろうとするライバルとの一戦で、価値あるゴールとなった。

 杉本は自身の得点シーンを「(試合前)急に雨が降ってきたので、シンプルに裏を狙おうとしていました。相手の組織ができる前に攻撃ができたので、狙い通り。最初はトラップして左足で打とうと思ったけれど、相手も必死に来ていたので、切り返して打てた」と振り返った。

 その後も、右サイドで攻守に奮闘した杉本だが、この一戦に並々ならぬ思いで臨んでいた。それもそのはず、スタメン出場は第12節の京都戦(0-1)以来、実に20試合ぶりのことだった。「いつ使ってもらってもいい準備はしています。その中でチャンスが巡ってくる、こないは分からないものなので。本当にやっと回ってきたチャンスだという思いが個人的にはありました。自分ができることを示したい気持ちはあったので、そういう部分をぶつけた感じです。1チャンスをモノにできたことは大きかったし、自分にとっても大きな1点。次につなげることが大事」と、笑顔を見せた。

 約4か月ぶりのスタメン出場でも、それを感じさせないプレーができたのは、チームとしての戦い方がはっきりしているからだという。「チームとして、やることが決まっていますし、それは先発でも、サブでも変わらないので。自然と試合に入ることができましたし、少なからずできる部分があるということは確認できました」と手応えを口にする。

 この試合、移籍後に初出場したDF田中雄大やサビアも躍動した。残り10試合となったリーグ戦では、チームとしての総力が問われてくる。その中で、これまで出場機会に恵まれなかった彼らの活躍は、チームにとっても好材料だ。「ここからは勝つしかない。結果を残すしかない。J1に上がるためには、後がないので、チーム一丸となって戦いたい」と杉本は意気込みを語る。

 チームとしての戦い方が、サブの選手にも浸透していること、そしてレギュラーに匹敵する力を、サブの選手たちも持っていることが確認できた。次節の徳島戦と次々節の岐阜戦ではチームのキーマンであるMFパウリーニョが累積警告のため、出場停止となる。それだけに、横浜FC戦で勝ち点3を取れたことに加え、この2点が確認できたことも、チームにとっては大きな意味が、ある。

(取材・文 河合拓)

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