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初勝利にも気を引き締める東京V 高原「今日がベストゲームではいけない」

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[3.31 J2第6節 東京V3-0岐阜 味スタ]

 開幕から未勝利に苦しんでいた東京ヴェルディを33歳のベテランが救った。キックオフから3分、左サイドからMF小池純輝が上げたクロスを岐阜DFがクリアーする。そのボールの落下地点にポジションを取っていたFW高原直泰が、胸でボールを浮かせて左足でボレーシュートをゴールに叩き込んだ。4節の北九州戦(1-1)でも得点を挙げていた元日本代表ストライカーの一撃で先制した東京Vは、その後も岐阜を圧倒し、前半だけで計3得点を挙げた。MF服部年宏は「立ち上がりの一発でやられてしまった」と、かつてジュビロ磐田でチームメイトだった高原に決められたゴールを悔しがった。

 開始直後のゴールについて、高原も納得の表情を見せる。「思い切って打てました。この辺にボールがこぼれてくるなと思っていたので。ボールが来てからは、思い切ってシュートまで行けたので良かったと思います」と振り返る。だが、すぐに「あと3ゴールくらいは外してしまったので、そこは反省しないといけない」と、続けた。

 実際、高原には3つの決定機があった。前半34分に右サイドからのクロスに合わせたシュートはGK時久省吾に弾かれ、同37分にこぼれ球に反応して打ったシュートもDFデズモンドにブロックされている。試合終了間際に左サイドからの折り返しをシュートした場面も、服部の体を張った守備に阻まれた。「今日は勝ったから、1点取っているからOKみたいになっていますが、自分としてはそういうチャンスを決めないといけない。もっと拮抗した試合になったら、その一つが試合を決めることにもなる。もっと自分自身、ゴール前で冷静にしていかないといけない」と、反省した。

 確かに2点目は遠かったが、それ以外の部分での貢献度は高かった。前半21分には自分たちのCKから、逆に速攻を受けそうになったが、中盤まで全速力で戻った高原が、体を張って相手のパスを遮断した。「相手のカウンターで、どこが一番危険なのか。パスを出されたら嫌なのか。そういうところに戻ったら、相手が素直に出してくれたのでカットできただけだと思います」と、何事もなかったように振り返った。それでも、最前線で献身的なプレーを見せる高原の存在が、チームの士気を高めたことは、間違いないだろう。

 服部も、ピッチ上での高原の変化を口にした。「やっぱりうまいし、落ち着いている。ただ、以前よりチームに対して怒ったりしていたのでね。そういう年齢になったんだなと思って見ていました。チームのことも考えてやっているなと思いましたね。いいんじゃないですか。点も取ったしね、アイツ」と、少し悔しそうに語った。

 今季初勝利をあげて、14位に浮上した東京Vは、次節は敵地でガンバ大阪と対戦する。自身のプレーに満足しない高原は、チームにも緊張感を求めた。「この1か月とは違うサッカーをようやく見せることができました。でも、今日がベストゲームではいけない。これをベースに積み上げないといけない。とにかくこの勝利で満足したら意味がない。次のガンバは今日のような相手ではないので、アウェーの試合に向けて良い準備ができたらと思います」と、気持ちを切り替えた。

(取材・文 河合拓)

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