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手を差し伸べてくれたチームに感謝、金沢FW清原「元SAGAWAの名に恥じないように」

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[10.12 J3第28節 町田0-0金沢 町田]

 もしかしたら、サッカーを辞めていたかもしれない。そんな崖っぷちに立たされた経験のある男が、ピッチ上で躍動している。ツエーゲン金沢のMF清原翔平は、救いの手を差し伸べてくれたチームのために90分間戦い続けた。

 スコアレスドローに終わった町田戦を「ゼロで抑えられたのは大きいし、結果について悲観することはありません」と5試合ぶりの無失点に手応えを感じつつも、「ただ、自分たちは勝ちに行った試合だったし、ベストとは呼べる試合ではありませんでした」と悔しさを滲ませた。しかし、依然チームはJ3首位をキープしており、J2昇格へ一番近い位置を守った。

 金沢の前に清原が在籍していたのは、JFL最多となる3度の優勝を誇るSAGAWA SHIGA FC。しかし、2年前にチームがJFLを退会し、清原はプレーの場を失いかけた。「話を聞いた瞬間から一週間くらいは、何をしていいのか分かりませんでした…。サッカーを続けたかったけど、納得できるオファーがなければサッカーを辞めようと思っていました」と当時を振り返る。

 そして、救いの手を差し伸べてくれたのが金沢だった。しかも、オファーの段階で清原がケガをしていたにも関わらずだ。「僕はリーグが終わる直前にケガをしてしまい、(他のチームの)練習参加にも行けなかったし、次の年の開幕には間に合わない状況でした。そんな状況にも関わらず、条件を提示してくれて…。だから、本当にツエーゲンに恩があります」とチームへの感謝を示した。

 その期待に応えるように、在籍2年目を迎えた今季からキャプテンを任されている。「僕は言葉で引っ張って行くよりもプレーで示すタイプなので。ガムシャラなプレーでチームを勇気付けたいし、ゴールを取らないといけないポジションなので、ゴールを狙って行きたい」と今後への意気込みを力強く語った。

 金沢に恩返しをしたい――。その気持ちとともにSAGAWA SHIGAへの思いも抱えて、この先もサッカーを続けていこうと決意している。「まだまだサッカーをやりたかったSAGAWAのチームメイトのことを思うと、僕は今、Jの舞台でサッカーをやれているので、どんな試合でも全力で臨まないといけないと思っています。元SAGAWAという名に恥じないプレーをずっと続けていきたい」。一度、プレーヤーを終えようかという瀬戸際まで追い込まれた男のサッカー人生はまだまだ終わらない。

(取材・文 折戸岳彦)

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