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マインツへの完全移籍発表も…クラブへの愛着を示すFW武藤「引退するときはFC東京で」

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[5.30 J1第1ステージ第14節 F東京2-1柏 味スタ]

 晴れ晴れとした表情で、ミックスゾーンに現れた。2-1で勝利した試合後、FC東京は、FW武藤嘉紀がドイツのマインツへ完全移籍することを発表した。プレミアリーグのチェルシーからオファーが届くなど、周辺が騒がしかったが、これによって一つの決着を見ることとなった。スッキリした表情に見えると言われると「そうですね。まずは、今日勝てたことに一番ホッとしています。チームを勝たせられたことが一番うれしいです」と、白い歯をこぼした。

 自身の移籍が発表される直前の試合。プレッシャーはあった。それでも、PKを確実に決めて決勝ゴールを記録し、チームを勝利に導いた。

「(地震があって時間があり)緊張感はありました、やっぱり。でも、それ以上に今日、こういう発表があることが分かっていたので、自分のゴールでチームを勝利に導けたらというのが頭の中にありました」

 第1ステージの途中、しかも試合直後に帰宅しようとするファン・サポーターを呼び止めるような形という異例の移籍発表だった。そこには武藤の意思も強く反映されていたという。「最後の最後でいきなり発表してしまうと、見に来ていただいた方たちもビックリされると思いました。最後に見られなかったというのも、あると思ったので、そういうことを踏まえて、少し前に発表させてほしいと言いました」。

 完全移籍により、クラブには移籍金が入る。一部には4億円以上とも言われているが、武藤は小学校3年生のときから在籍していたチームに、移籍金ではなく、タイトルを残したかったと話す。「(移籍金を残せても)恩返しできたという気持ちはありません。タイトルをもたらせませんでしたし、ファン・サポーターには申し訳なく思っています。引退するときは、絶対にFC東京で引退したいと思っていますし、僕を育ててくれたチームは、FC東京であり、ファン・サポーターであるので、最後にヨーロッパから帰ってくる時期というのがあると思うので、そのときにまたFC東京に戻って来て、また恩返しできればいいなと思います」と、欧州での戦いを終えた後に戻って来たいプランを明かした。

 クラブは、ファーストステージ最終戦の清水戦後に、武藤が挨拶をすることを発表した。FC東京での武藤を見られるのは、最大で残り4試合となる。

(取材・文 河合拓)

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