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J1通算得点でカズ越えのF東京FW前田「中山さんまで行きたい」

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[6.27 J1第1ステージ第17節 F東京3-2清水 味スタ]

 不安を吹き飛ばす2ゴールになるか。FC東京は、第1ステージで挙げた24点のうち、ほぼ半分に値する10ゴールを決めたFW武藤嘉紀がドイツのマインツへ移籍する。試合後の会見でマッシモ・フィッカデンティ監督は、クラブが補強に動いていることを明かしたが、第2ステージではエース抜きで新たな戦い方を見出さなければいけない。

 それだけに、第1ステージ最終節で、今シーズン加入したFW前田遼一が2ゴールを挙げたことは明るい材料だろう。チームを離れる武藤もまた「FC東京のFWとして、遼一さんが今後も活躍してくれると思う。今日はその始まりになるアシストができて良かったな、嬉しいなと思います」と、期待を寄せる。

 この日の前田の1点目は、武藤のアシストから生まれた。中盤でボールを奪ったF東京は、MF梶山陽平が縦パスを入れる。これを受けた前田が、さらに武藤につないだ。武藤はドリブルを仕掛け、DFを引き付けておき、前田にリターンパスを出した。

「本当に良いボールをくれたなと思います」と、前田は武藤に感謝。「(武藤が)そのまま行くかなという気持ちもあったのですが、ちょっとスピードダウンしたので、もう一度(ボールが)来るかなと思いました」と、ゴール前に走り込んだときの心境を説明し、シュートについては「GKも冷静に見えていました」と振り返った。

 今シーズン、F東京に加入した前田にとって、このゴールは味の素スタジアムでの初ゴールだった。1点目から6分後には、DF太田宏介のフリーキックから、打点の高いヘッドでホーム2点目も叩きだした。「いつも応援してもらっているので、早く(ゴールで)応えたいなという気持ちはありました。本当に勝利に貢献できたことは良かったなと思います」と、喜ぶ。

 1点目のゴールで前田は、J1通算得点を139として、歴代5位の横浜FCのFW三浦知良の記録に並んだ。そして、2点目で通算得点を140に伸ばし、歴代単独5位となった。「光栄なことですけど、やっぱり中山さんまで行きたいなと思います」と、前田は話す。目標は通算157得点を挙げて、歴代1位となっている元日本代表FW中山雅史の記録だ。

 多くのゴールを挙げて来た前田だが、F東京に入ってからは出場できない時期も続いた。それでも、焦りはなかったという。「ジュビロにいたときも、(点を)取れなかったときは、取れなかったですし、そういう時期は必ずあるので。そういうときでも、良いボールが来ているのは分かっていたので、そこに自分が入っていけば取れるっていうのはあったし、自分自身を信じていたのもあります。試合に出れば取れるという自信はありました」と話してから「でも、まだこれだけしか点を取れていなくて、チームに貢献できていないので。これから貢献したいと思います」。

 武藤が不在となる第2ステージ、その真価が問われることになる。「ヨッチ(武藤)がいなくなって、『弱くなった』と言われるのも嫌なので、頑張っていきたいなと思います」と、静かに闘志を燃やした。

(取材・文 河合拓)

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