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代表予備登録メンバー入りの川崎F DF武岡「レナトに鍛えられた」

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[7.11 J1第2ステージ第1節 川崎F2-0F東京 等々力]

 ドルトムントに0-6で敗れた衝撃は大きかった。川崎フロンターレのDF武岡優斗は「第1ステージを良い形(3連勝)で終えて、7日にドルトムントと試合をして…。個人個人が、いろいろな刺激を受けて、練習に落とし込んでいました。ドルトムントとの練習試合が終わってからの練習は、結構、えげつないくらい激しかった。それが今日の試合にも、そのまま反映されて球際にも行くことができていたと思います」と、2-0で勝利した第2ステージ開幕戦を振り返った。

 この試合、武岡は前半から機を見て攻め上がりゴールを狙うなど、精力的にアップダウンを見せた。試合終盤には、攻撃参加してきたDF太田宏介との1対1を制し、クロスを入れさせなかった。F東京の攻撃の生命線でもある太田のクロスは、試合を通じて警戒していたという。

「(太田の)左足は警戒していました。(クロスを)上げてきそうだったら、もっと寄せていたんですけど、あまり攻めて来ませんでしたね。最後の1対1は自分の間合いでできたと思いますし、勝てる自信もあって、しっかりボールを取れたと思います」

 攻守に奮闘していた武岡は、「普段どおり」のプレーだったと言い、「周囲の見方が変わっただけですよ」と笑った。これまで以上に周囲の注目を集めたのは、10日に東アジア選手権を戦う日本代表の予備登録メンバー50人の中に選ばれたばかりだったからだ。

 武岡は昨年、チームメイトのFW大久保嘉人がブラジルW杯のメンバーに選出された際には、Twitterで喜んでいた。それから約1年が経ち、今度は武岡自身がサプライズで予備登録メンバー入りした。「周りから評価されることはすごく嬉しいですが、『そうなんですか?』っていうくらいでしたね。登録メンバーに入るとも思っていなかったので」と、感想を口にする。

 横浜FC時代、負傷者が続出したことからSBにコンバートされ、そこで結果を残して2014年に川崎Fへ移籍。川崎Fでの1年目は、ほとんど出場機会を得られなかったが、今シーズンに入ってから3CBの右や右SBとして出場機会をつかんでいる。「最近は1対1の守備に楽しさを見出せている」と話す武岡は、川崎Fでの日々が代表候補入りにつながったという。

「人に対して強くなったと思います。チームでも対人は強い方だと思いますし、練習から負けたくありません。昨シーズン、僕はサブメンバーで、紅白戦では相手の2トップには(小林)悠と(大久保)嘉人さんがいて、目の前にはレナトがいて、そこにボールを出すのが(中村)憲剛さん。そんな環境で毎日やっていればね。レナトには鍛えられました。練習から、バチバチバチバチやっていたので。ミニゲームなら、ある程度は対応できますけど、大きいゲームになるとレナトは単純に速いし、強い。でも、それが今に生きていると思います」

 大ケガによる2度の手術を経験し、現役引退を考えたこともあったが、28歳で初めてJ1のピッチに立ち、29歳にしてさらに大きなチャンスをつかみかけている。「1日1日の積み重ねですし、いろいろな人との関わりがあってここまでこれている」。決して順風満帆ではなかったからこそ、確かな力を付けて来た男は、周囲に流されることなく自身のスタンスで歩を進めていく。

(取材・文 河合拓)

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