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柏の歴史に名を刻んだ工藤「北嶋秀朗という男を越えられたことを誇らしく思う」

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[7.19 J1第2ステージ第3節 柏1-0川崎F 柏]

 満員の日立柏サッカー場で打ち立てた新記録だ。前半15分、中央でボールを持ったMF茨田陽生が入れた縦パスをMFクリスティアーノがダイレクトでMF小林祐介に落とす。小林は1トラップすると、オフサイドラインギリギリで飛び出したFW工藤壮人へラストパス。GKとの1対1を制し、柏サポーターは歓喜に包まれた。両チーム合わせて30本のシュートが飛び交った試合だが、終わってみればこれが唯一の得点に。エースの2試合連続での決勝点は、柏レイソルのJ1通算最多得点新記録となる53点目となった。

 前記録保持者は、かつて工藤と同じ「9番」を背負っていた北嶋秀朗(ロアッソ熊本コーチ)。「小さい頃から夢見ていた、北嶋秀朗という男を記録として越えられたことを誇らしく思います」。柏レイソルU-12の頃から黄色いユニフォーム一筋の工藤は、自らがクラブの“伝説”となった。「これで胸を張って『柏の9番といえば工藤だ』と自分自身でいえるような選手になったと思うので、今日くらいは自分を褒めたいと思います」。

「2ndステージでなかなか無かったので気持ちよかった」と、背番号「9」はゴールへの過程でも手応えを口にする。第2ステージ第2節までの柏の得点は「3」だったが、その内訳はFK1得点、CK1得点、PK1得点。セットプレーでしか得点を取れなかった状況から一転、川崎F戦はパスで崩す柏らしいゴールを見せた。「祐介には僕の近くでプレーしてほしいと試合前に言って。バイタルでボールを持つとシュートに見せかけてパスを出したり、アイディアが豊富な選手なので、彼を信頼して走りました」。小林からのスルーパスを受けた工藤は、GKとの1対1でゴールを決め切ることができたが、「毎日レベルの高いGKの前で、1対1やシュート練習をこなしているので自信を持っている」と練習の賜物であることも明かし、この日ビッグセーブを連発したGK桐畑和繁やGK菅野孝憲ら柏GK陣に感謝の意を示した。

 25歳でクラブの歴史に名を刻んだ工藤は、「いままで自分に関わってくれたコーチや、サポーター、ケガをせずにやらせてくれた妻、生んでくれた家族、いろいろな人に感謝しながらゴールを取り続けていきたい」と自らの記録を更新し続けることを誓っていた。

(取材・文 奥山典幸)

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