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最終節直前、ワシントン秘話

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 12月2日のJ1最終節で優勝と得点王を狙うワシントン。そのプレースタイルは高身長から打点の高いヘディング、そして頑丈な体格を効果的に生かし、得点を量産するというものだ。いまや浦和の得点源として、なくてはならない存在である。だが彼のサッカー人生は決して順調なものではなかった。
 ワシントンはポンチ・プレッタ(ブラジル)に所属していた01年に、ブラジル杯・11得点、サンパウロ州選手権・16得点、ブラジル選手権・18得点で得点王に輝いている。02年にフェネルバフチェ(トルコ)へ移籍し、そこでも活躍をしていた。
 しかし、そんなめざましいワシントンのサッカー人生を揺るがす出来事が起こる。03年に突然、心臓疾患を患ってしまう。生死の境をさまよい、クラブも解雇される。一命をとりとめるが、選手生命は危ぶまれた。そのとき彼を支えたのが愛する家族であり、当時生後八ヶ月の愛娘カロリナの存在だったという。その後2度の大手術を受け、1年2ヶ月にも及ぶ長い闘病生活をおくる。そして04年、アトレチコ・パラナエンセ(ブラジル)に移籍し、再びブラジル選手権で最多得点記録を塗り替える38試合・34得点を挙げ、得点王に輝く見事な復活をみせたのだ。
 ゴール後に胸を叩くポーズは心臓の病を克服してから見せるようになった仕草だという。
 そのパフォーマンスを最終戦で見ることが出来るのだろうか。

(文 武澤伸昭)

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