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石川直宏「これが待ち望んでいた最後」18年間の現役生活に幕…万感の有終アシスト

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ラストマッチでキャプテンマークを巻いたMF石川直宏

[12.3 J3第34節 FC東京U-23 2-1 C大阪U-23 駒沢]

 最後は笑顔で締めくくった。今季限りで現役を引退するMF石川直宏が3日、ラストマッチを迎えた。最後の試合会場は02年4月にFC東京デビューを飾った駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場。サポーターを愛し、愛されたレジェンドは6338人に惜しまれながら18年間の現役生活に幕を閉じた。

 これが本当のラストダンスとなった。前日、味の素スタジアムでJ1最終節に先発。15年に左膝前十字靱帯損傷で戦線を離れ、J1出場は約2年半ぶりだった。1年前にはJ3のピッチに立ったが、左膝は悪化した。「いつも痛いっす」。笑いながらそう明かす石川は痛みを抱えながらも2日連続の引退マッチに照準を合わせて調整し、最後の勇姿を見せた。

 1点リードの後半37分にピッチに入り、キャプテンマークを巻いてプレー。見せ場は出場6分後に訪れた。後半43分、左CKのキッカーを務めた石川が右足で正確なクロスを蹴り込むと、来季トップチーム昇格が内定しているFW原大智がヘッドで合わせ、ゴールイン。石川は得点者に駆け寄ろうとしたが、若きチームメイトたちは自身の元に集まり、歓喜の輪が広がった。

「FC東京のキャリアをスタートさせた駒沢の試合でもアシストできた。アシストで始まり、アシストで終われた。もう言うことはないです」

 前日はスコアレスドローに終わり、悔しさが残っていた。「昨日は勝てなくて残念だった。今日は心からの笑顔をサポーターに見せられた」。最後まで勝利を追求した36歳のベテランは「最高でしたね。最後、これで終われるって本当に最高っすよ。勝って一つになる感覚を味わい続けなきゃいけない」とラストマッチを白星で飾った意義を説いた。

 別れを惜しむFC東京サポーターは石川に届ける最後のチャントを何度も歌い、相手のセレッソサポーターも「石川選手お疲れ様でした」とフラッグを掲げた。引退セレモニーでは元同僚のルーカス氏が花束を贈呈。石川の人徳を示すように、駒沢にはDF丸山祐市らトップチームの選手はもちろん、FC東京OBのGK権田修一(鳥栖)やGK塩田仁史(大宮)、横浜FMユース時代からの旧友MF田中隼磨(松本)など、多くの選手が同窓会のように集結した。

 どんな最後になるのか、この日を迎えるまでには不安もあったが、最高のラストが待っていた。一時代を築いたFC東京のレジェンドは「正直に言ったらもう少しやりたいけど、二言はない」と少しの寂しさをにじませながら、「これが待ち望んでいた最後」と満足そうに言い切った。

(取材・文 佐藤亜希子)

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