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「苦しい時にチームを救える」選手へ進化。静岡学園CB行徳瑛は名古屋、世界で活躍するために成長し続ける

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静岡学園高CB行徳瑛主将が名古屋グランパス、世界での活躍を目指す

「苦しい時にチームを救える」プレーヤーへ変わった、静学の主将が名古屋グランパスからプロ入りする。名古屋は4日、23年シーズンからの新加入選手として、静岡学園高(静岡)のU-18日本代表候補CB行徳瑛主将(3年=静岡学園中出身)が内定したことを発表した。

 行徳はJ1の複数クラブが関心を寄せていた高体連屈指のCB。名古屋は継続的に行徳に注目し、インターハイ予選後の練習参加を経て獲得を決めたようだ。行徳は185cmの長身で空中戦に強く、静岡学園中高6年間で養ってきた足下のスキルも高い。決め手になったのは「プレミアで苦しい時に、どういうプレーができるか」(静岡学園・川口修監督)という点が大きいようだ。

 行徳は今季、プレミアリーグWESTの清水ユース戦で失点直後に引き分けへ持ち込む同点ヘッド。また、3-0で勝ったG大阪ユース戦でもヘディングシュートを決め、後にクラブユース選手権を制したC大阪U-18とのアウェーゲームでは、退場者を出し、先制点を奪われて迎えた後半39分に同点ヘッドを叩き込んでいる。この試合では後半45+2分に決勝点となるPKを決めて勝利。加えて今月2日には名古屋U-18戦で再び同点ヘッドを決めた。また、行徳がゴールカバーによってピンチを救ったシーンは1度や2度ではない。

 行徳は「ビルドアップの持ち運びやフィード、あとチームが難しい状況になった時の振る舞いだったりは高く評価して頂いています」と口にする。入学当初から注目されてきた行徳は昨年、インターハイ3位に貢献。一方で先輩に頼ってしまい、声も、試合を決めるようなプレーも少なかった。

 だが、名門の主将を務める今季は変化。「足りていない部分はありますけれども、今年に入ってから、攻守において、試合に大きく係わるようなところで力を出せるようになってきている」と自己分析する。

 1学年上の先輩は4人がプロ入りし、インターハイ3位、選手権も8強。「去年のチームは一人ひとりの要求だったり声だったりというのは凄く求め合って、高め合ってやっていた。その選手たちを近くで見せてもらった。今年、キャプテンもやらせてもらっているので、チームを引っ張っていく立場だと思っていましたし、自分も変わってやっていかないといけないと感じたので」。自分が先頭に立って変化。責任感も強くなったCBは、以前よりも多く声を出すようになり、チームを救う選手、勝たせる選手へ変化した。

 名古屋へ練習参加した際も積極的にコミュニケーション。ただし、J1で毎年優勝を狙うクラブのレベルに自分はまだまだ達していないと感じている。「外国人選手であったり、相馬(勇紀)選手や中谷(進之介)選手だったり、代表に選ばれている選手やJリーグのトップレベルの選手たちとできて、基準を肌で体感することができましたし、フィジカルやスピード感、判断、全てに置いて全然足りていないなと基準を知れたのは良かった」。ビルドアップでのフィードなど強みも出したが、もっともっとレベルアップしていく必要性を感じている。

 高卒のCBが、トップチームで出場機会を掴むのは特に難しい。我慢する時間が続くかもしれないが、昨秋など怪我で出られない時期も経験している行徳は、「常に自分に矢印向けてやることは普段からやっている。腐らずにやり続けるのは自分の中でできるかなと思っています。プレーで示すのが一番だと思うので、難しいポジションというのは分かっているけれど、積極的にやっていきたい。チームでレギュラーを獲るというところを目標にしてやっていかないといけない」。自分に目を向けて地道に努力を続けること。それは厳しい世界を知る父から学んだことでもある。

 行徳の父・浩二さんは清水コーチ、監督や大宮コーチ、岐阜監督などを歴任し、またJFA公認指導者として海外諸国に派遣されている人物。「(父は)Jの世界や色々なところで指導者の経験をしてきていて、『結局、やるのは自分の次第』『どの選手見てもそうだ』と。『あとは自分が頑張る』という話をしました」と行徳は語る。

 焦らず、自分の強みを高めること、課題を改善することに取り組んでいく。そして、諦めずに、「ストイコビッチ選手のリフティングとか有名。歴史があって、昨年、一昨年はウノゼロの試合数が多くて、今年も監督が(長谷川)健太さんになってから攻撃的なスタイルになっている」という名古屋でレギュラーを獲る選手、活躍する選手になること。年代別日本代表でともにプレーし、1月のバイエルン移籍が決まったMF福井太智(鳥栖U-18)や同系統のプレーヤーで世界を舞台に活躍するDF冨安健洋、DF板倉滉にも刺激を受ける大器が、名古屋を救う存在となって世界へ羽ばたく。


(取材・文 吉田太郎)
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