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鄭大世が17年の現役生活に幕「砂埃舞う大学都リーグ3部からのし上がった、最高に痛快なサッカー人生」

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FW鄭大世

 FC町田ゼルビアは28日、FW鄭大世(38)が2022シーズンをもって現役を引退することを発表した。

 愛知県名古屋市出身の鄭大世は、愛知朝鮮中高級学校、朝鮮大を経て、2006年に川崎Fでプロ生活をスタート。その後、10年に海を渡り、ボーフム(ドイツ)、ケルン(ドイツ)、水原三星(韓国)でプレーした。

 15年にはJリーグに復帰し、清水に加入。新潟へのレンタル移籍を経て、21年に町田に完全移籍で加わった。在籍2年目の今季は、J2リーグ34試合に出場し、6得点を記録。北朝鮮代表では、33試合で15ゴールをマークした。

 鄭大世は現役引退に際し、クラブ公式サイトを通じて次のようにコメントしている。

「裏山の鶯の鳴き声で目を覚ます。そんな清々しい朝を迎えてた町田での2年間。最後の最後まで。本当に最後の試合まで苦しかった。これを遅くに書き上げた後に夢で、外されてるのに怒鳴られる夢でうなされ、朝思わず加筆した。現実もそんな日常だった。

 全て伏線だと言い聞かせ、この”痛みや苦しみ”は自分だけの花を咲かせるためだと愚痴りながらも、食らいついた。自分と、周りが思う今の質の差にも薄々気がついてたが、年甲斐もなく、まだできる!とギラついてたけど、変わることはなかった。

 苦しさは変わらずで、こんな歳でも、悔しくて何度も泣いた。でも喜びは、喉が裂けるほど咆哮したあの頃とは、もう違う。同世代に勇気づけられ、ひと回り下に慰められた。歳の半分以下の選手たちと鎬を削った。

 幼き頃、買ってもらったユニの袖のJリーグのエンブレム。太くなった腕の袖のそれを見るたびに、胸が熱くなった。何年も前から、今日が最後かもと毎試合トイレに篭り嗚咽を漏らして泣いてた。酸いも甘いも味わい、綺麗事だと思ってたあの言葉も、今なら素直な気持ちで言える。

『みんなのおかげ』こんな性格じゃなかったらもっといい景色が見えたかも?こんなエゴイストだからここまでこれた?違う。みんなの支えで今がある。後悔や、人としての失敗は数え切れないけど、はっきりと言える。これが『ベスト』。

 砂埃舞う大学都リーグ3部からのし上がった、最高に痛快なサッカー人生。多くをサッカーからもらい、今は心が満たされてる。あの頃想像もできなかった舞台で夢中で走った17年間に、終了の笛を吹き、終止符を打つ。悠然と胸を張ってスパイクを脱ぎます。

 エゴイストなくせに馬鹿みたいに繊細で感情的な、こんな僕に関心を持ってくれて、ありがとうございました」

以下、クラブ発表プロフィール

●FW鄭大世
(ちょん・てせ)
■生年月日
1984年3月2日(38歳)
■出身地
愛知県名古屋市
■身長/体重
181㎝/80kg
■代表歴
北朝鮮代表
■出場歴
J1通算:181試合65得点
J2通算:130試合46得点
カップ戦通算:33試合8得点
天皇杯通算:18試合9得点
ACL通算:30試合8得点
ブンデス通算:5試合
ブンデス2部通算:44試合14得点
DFBポカール通算:4試合1得点
K1通算:72試合23得点
FA杯通算:2試合2得点
■経歴
愛知朝鮮初級学校-東春朝鮮初中級学校-愛知朝鮮中高級学校-朝鮮大-川崎F-ボーフム(ドイツ)-ケルン(ドイツ)-水原三星(韓国)-清水-新潟-清水-町田

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