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今季先発ゼロもプレーオフ初戦で逆転1G1A!! 熊本FW粟飯原尚平「ラッキーボーイになるビジョンは見えている」

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FW粟飯原尚平(写真右)が1ゴール1アシスト

[10.30 J1参入プレーオフ1回戦 熊本 2-2 大分 えがおS]

 ボール保持で大分トリニータを圧倒しながらも決め切れない時間が続いたロアッソ熊本だったが、交代選手の存在が最終盤のドラマを生み出した。なかでも後半30分に投入されたFW粟飯原尚平は、チームを逆転に導く1ゴール1アシストを記録。勢いが重要視されるポストシーズンの一発勝負で、ラッキーボーイに名乗りを挙げた。

 このままでは初戦敗退となる0-1で迎えた後半30分、粟飯原はチーム得点王のFW高橋利樹に代わって最前線のポジションに投入され、終盤の猛攻の仕留め役を託された。レギュラーシーズンは21試合に出場したが、いずれも短い時間の途中出場で、残した結果はわずか2得点。それでもプロキャリアをスタートした岐阜時代から知る大木武監督は「ヘディングが強く、そして一発を持っている」と信頼して送り出した。

 すると後半42分、まさに期待どおりの結果を出した。GK佐藤優也のロングキックが前線に送り込まれると、184cmの大分DFペレイラを背負いながらヘディングでフリック成功。このボールが相手のクリアミスを誘い、流れたボールを拾ったFW坂本亘基が冷静にネットを揺らした。

「自分もヘディングは得意なので、早く落下地点に入るということは意識していて、相手も意外に来なかったのであれは簡単。うまくそらすことができた」。178cmとストライカーの中では長身とは言えないが、ボールへの感覚と身体操作が光ったアシストだった。

 さらに後半アディショナルタイム2分、今度は右サイドに流れてボールを引き出すと、FWターレスに預けてゴール前に動き、最後は坂本からのパスを受けて左足シュートを沈めた。「キーパーのポジションは見えていたので、ニアが空いているなというふうに思っていた。流し込むだけだった」。指揮官の見込んだ“一発”でも結果を出した。

 最後は大分のパワープレーで同点に追いつかれ、上位アドバンテージによる突破となったため、粟飯原の1ゴール1アシストはさらに大きな価値をもたらす形となった。今季を振り返れば「本当に悔しいシーズンだった」という総括にはなるが、その感情をバネに「本当に強い気持ちを持って臨めた」結果、J1参入に向けたポストシーズンで努力が花開いた。

 試合でなかなか出番を得られない間も、チームメートとともにトレーニングには真剣に励んでいたという。「メンバー外のトレーニングでもすごく良いトレーニングができてたと思うし、居残りのシュート練習でもマスさん(GK増田卓也)とか(GK田代)琉我とかも付き合ってくれたし、本当にスタメン、ベンチメンバー、ベンチ外含めて全員の勝利だったと思う」。シュート練習を支えてくれた控えGK陣への感謝の言葉も口にした。

 もっとも、粟飯原は初戦だけの活躍に終わらせるつもりはない。このプレーオフでは2回戦の山形戦、J1リーグ16位との決定戦を制し、悲願のJ1初昇格を成し遂げることが唯一の目標。レギュラーシーズンでは苦しんだが、最後の短期決戦で鮮烈なインパクトを残す構えだ。「自分がラッキーボーイになるビジョンはもう見えているので、次もまずメンバーに選ばれるようにしっかり練習からやらないといけないし、頑張りたい」。殊勲の26歳は早くも次戦への準備に力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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