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国内5部相当から切り開いたプロ人生…町田MFバスケス・バイロンがJ1初昇格「僕の道を着実に歩んでいる」

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MFバスケス・バイロン

[10.29 J2第40節 町田 1-0 金沢 Gスタ]

 大きな注目を集めた東京ヴェルディからの電撃移籍を経て約3か月、MFバスケス・バイロンFC町田ゼルビアでJ2優勝のタイトルを獲得した。青森山田高卒業後、5部相当の東北1部リーグから社会人キャリアをスタートし、今季で5シーズン目。ついに来季、初めて日本サッカーのトップカテゴリに挑戦するチャンスを得た。

 試合後、バスケスは「僕が来た時点で町田は1位だったので、立ち上がった時からいた選手の皆さんが作ってきてくれて、築いてくれたサッカーであり、結果だった」と感謝。「途中から入ってきたにもかかわらず、僕を受け入れてくれた監督、選手、スタッフ、そしてファン・サポーターの皆さんがいつも温かく声をかけてくれて、ここまで頑張ってこられた。感謝の気持ちでいっぱい」と喜びを語った。

 今年7月に青森山田高時代の恩師である黒田剛監督からのオファーを受け、町田に加入。自身も「こんな経験をするとは予想もついていなかった」と振り返ったように、同カテゴリ内の電撃移籍は世間にも驚きをもって受け止められた。実際、移籍決定直後には町田対東京Vの直接対決が組まれていたこともあり、昇格を争うライバル関係も白熱。一部の批判の声はバスケスのもとにも届いていた。

 もっともプロサッカー界において、オファーを受けての移籍は一つの栄誉。バスケスは批判の声も受け止めながら、前を向いてやってきた。

「こんな経験ができるというのは僕以外にいないと思う。これからサッカー選手をやっていく上で貴重な経験だった。いまだに言われることもあるけど、決して簡単に消えていくことでもないので、あとはピッチの上で結果を出し続けることが全て」。移籍直後は先発が続くも、一時は出場時間の短い時期も続いたが、指揮官が求める守備のタスクとも向き合いながらひたむきに鍛錬を続けていた。

「高校の時に最初、監督に守備が全くできなくて試合に2年間出られなくなって、3年目になる前に僕が目の色を変えて、自主練もやって、守備もしっかりやってきたことが積み上がって選手権優勝につながった。次の年のいわきFCでも社会人からスタートだったけど、東北社会人優勝して、地域CLで優勝して、高校で培ったものが活きた。そして町田に来てからはより守備のところを言われるようになったし、より求められている。守備も3か月前より良くなっていると思う」

 そうした成果もあり、14日の第38節・秋田戦ではより守備的な働きが求められるウイングバックのポジションで先発に返り咲き、そこから3試合連続先発で3連勝に貢献。J1昇格を争う厳しい戦いの中で輝きを放った。

 来季は自身初となるJ1の舞台。高校卒業後の2019年に当時東北1部(5部相当)だったいわきFCで社会人キャリアをスタートし、20〜21年にJFL、昨季からJ2の東京Vでプレーしていた23歳がプロ5年目で大きくキャリアを前進させた。

 遠回りにも思えるが、その過去に悔いはない。「近道としてはもしかしたら高卒でJリーグに入っていればそれが一番近かったかもしれないけど、僕の道を着実に一歩ずつ歩んでいっている。僕も代表になること、ヨーロッパでやるという目標はブレることは一切ないので、そこに向かってやっていきたい」。ここから夢を叶えるためにも、来季のJ1に妥協せぬ姿勢で臨もうとしている。

「来年はJ1でどこのチームも強いけど、残留争いではなく上位に食い込みたいのが正直な思い。だからこそ僕も含めてひと回り成長して、J1トップレベルで戦える良い選手になりたい」。自信を掴んだ1年間を経て、ここからさらにパフォーマンスを上げていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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Text by 竹内達也

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