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[ナビスコ杯]ケガに苦しんだ主将・高松が先制弾&MVP!

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[11.1 ナビスコ杯決勝 大分2-0清水 国立]

 今季序盤から両足首の負傷に悩まされてきたエースがチームを初Vへと導いた。0-0で迎えた後半23分だ。大分トリニータはMFエジミウソンが右サイドのスペースへ出したボールにMF金崎夢生が走りこむ。金崎が中央へ折り返したボールの先にはキャプテンマークを巻いたエース・高松大樹がいた。高い打点のヘディングシュートを相手DFの頭の上から打ち込むと、ボールは必死のセーブを試みるGK山本海人の手をすり抜けてゴールラインを越えた。ガッツポーズを繰り返しながらベンチ方向へ走り出した主将に控え選手、スタッフまで一斉に駆け寄る。すると高松は“青い歓喜”の中心となった。

 高松にとって今大会の先発は、3月23日のグループリーグ第2戦・新潟戦以来、9試合ぶり。そして遠い九州から駆けつけてスタンドを青く染めたサポーターに大分一筋でプレーしてきたエースが燃えない訳がなかった。「いっぱいサポーターが来てくれていたし、負けて帰る訳にはいかない」。一方で久々に先発した試合に気楽に臨むことができたことも大きかった。
 大分は通常、試合前にゲームキャプテンがチームの前で話すことが決まりとなっている。だが、この日は高松ではなくウェズレイが「1人1人が自信を持ってやらないといけない」とチームを鼓舞した。高松は「ボクは声をかける程度でよかった」と気楽な気持ちで決勝に臨んでいたことも好結果につながった。前半から抜群のキープ力とポストプレーで攻撃に息を吹き込んだ。そして試合終盤を迎えたところで価値ある一撃。先制ゴールでMVPにも輝いた高松は「最高でした」と繰り返した。

 「このチームで優勝できてうれしい。自分はここで育ったし、お世話になった。大分が優勝した歴史の中にいられたのはうれしい」。表彰式、トリニータコールが巻き起こる中で国立競技場のロイヤルボックスへと歩み、ナビスコカップを空へ掲げた高松。自分のサッカー人生を捧げてきたクラブを日本一へ導いた男の姿は、最後まで誇らしげだった。

<写真>後半23分、MVP高松大樹の先制ヘッド

(取材・文 吉田太郎)

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