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[ナビスコ杯]攻守に完敗の清水、長谷川監督「情けない以外、何もない」

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[11.1 ナビスコ杯決勝 大分2-0清水 国立]

 あと一歩まで迫った頂点。12年ぶりの栄冠は近いようで、果てしなく遠かった。清水エスパルスの長谷川健太監督(43)は「負けたのは私自身に力がなかったから。勝たせてあげられなかった選手に申し訳ない。悔しいし、情けない以外、何もない」と唇をかみ締めた。0-2の完敗。持ち味を何ひとつ出せなかった。全体的に出足が遅く、前線からプレッシャーがかからない。ビルドアップでも落ち着いてパスを回せず、無謀なロングボールが目立った。攻守にリズムが生まれず、大分の狙い通りに試合は進んでいった。

 決勝の重圧に負けた。平均年齢24.27歳の若さが裏目に出た。34歳のベテラン、MF伊東輝悦は「少し硬くなってたのもあるし、点を取りたい気持ちが強すぎたというのもある」と言った。皮肉にも初の国立、初の決勝で初のタイトルを目指す大分の方が冷静だった。FW岡崎慎司、FW原一樹、MF枝村匠馬の攻撃トライアングルは厳しいマークに遭い、仕事ができない。サイドでも数的不利を強いられ、特に左サイドは前半からピンチの連続だった。結局、その修正が効かないまま、後半23分にそのサイドから先制点を許した。0-1。1点を取れば、あとは“カメナチオ”で守り切ろうとする大分の堅固な守備を崩すのは難しかった。

 大分の2トップにも手を焼いた。前線で体を張るFWウェズレイ、FW高松大樹を抑えきれず、起点をつくられた。競ったあとのセカンドボールへの反応も遅れた。すべての面で大分に負けていた。DF青山直晃は「ウェズレイをつぶし切れず、展開されることが多かった。相手はうちのFWをつぶしに来ていたけど、うちはつぶせなかった」と悔やんだ。局面では青山対ウェズレイ、DF高木和道対高松という個対個の図式だったが、個人の差で負けたと言えるほど単純ではない。青山は「後ろでボールを回したり、前でキープしたり、自分たちでボールを回せていなかった。DF対FWというより、その前の問題」と、チームとして負けていたことを認めた。攻撃でリズムを出せなかったことが守備にも悪影響を及ぼしていた。

 手が届きそうで届かないタイトル。まだまだ足りない部分があるということだ。どんな舞台であっても自分たちの力を100%発揮すること。まずは、それが先決だ。岡崎は「経験というか、大舞台で自分たちのプレーができないといけない。優勝したかったけど、強くなるしかない。まだまだだと思う。こういう(タイトルを懸けて戦う)チャンスをつくるのは自分たち。また頑張っていきたい」と誓った。悔しさを味わった分だけ強くなるチャンスもある。若いチームだからこそ、未来にも無限大の可能性が広がっている。

<写真>試合終了時、歓喜に沸く大分イレブンの横で呆然と立ち尽くす青山直晃

(取材・文 西山紘平)

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