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[ナビスコ杯]クラブ初、九州勢初・・・大分が歴史的V

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[11.1 ナビスコ杯決勝 大分2-0清水 国立]

 表示の4分から2分以上も長い6分のロスタイムが経過した後半の51分、大分トリニータ初Vを告げる試合終了の笛がスタジアムに鳴り響く。すると、大分ベンチから一斉に選手が飛び出し、喜びを爆発させた。後半44分にダメ押しのゴールとなる2点目を奪った直後、優勝を確信したかのようにピッチ上で喜びを爆発させていたイレブンだったが、その喜びはさらに大きなものとなっていた。05年シーズン途中に就任したシャムスカ監督が涙をこらえながら、選手一人一人と抱擁していく。そしてナビスコカップは九州勢初の日本一クラブ・大分の手の中に落ちた。

 「チームの日本一が願いだったので、それが叶ってうれしい」。主将のFW高松大樹がやや興奮した口調で思いを述べた。1994年のクラブ創設から15年目。大分県リーグからスタートしたクラブの道のりは決して平坦ではなかった。99年のJ2初年度からJ1昇格争いへ加わったが99年、00年ともに勝ち点1差の3位で昇格を逃した。02年のJ2優勝でJ1へ舞台を移したが、リーグ戦は毎年のように残留争いに加わった。シャムスカ監督も「われわれは常に上位に食い込むようなチームではなかった。毎年のように降格争いをしたり、苦労したチームだと思う」と振り返る。
 それでもクラブが行った高校生、大学生の生え抜き選手中心のチーム作りとシャムスカ監督の指導がマッチし、上昇気流に乗り出す。そしてリーグ最少失点の鉄壁な守備陣を武器にリーグ戦の優勝争いに加わった08年、歴史が変わった。清水を完封しての悲願達成。指揮官は「ここまでの大分はタイトルを狙えるチームではなかった。クラブはそれほどお金がない。施設も整っていない。ただ、選手のレベルは十分にタイトルを狙うことのできるチームだったと思っている。今日得たタイトルは言葉では表せないほどの重みがある。今回のタイトルは我々にとってこれから先の自信につながる大きなタイトルだった」。
 Jリーグの鬼武健二チェアマンが「九州から初めてタイトルを獲得するクラブがでたことは、とてもうれしく思う。シャムスカ監督のもと、選手とスタッフが一丸となった結果であろう」と賞賛した新王者誕生。今回のナビスコ杯Vは大分にとって初、県リーグ出身クラブにとって初、九州勢として初となる歴史的な優勝となった。

<写真>念願のナビスコカップを手に、その重みを確かめたシャムスカ監督

(取材・文 吉田太郎)

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