beacon

[戦評]首位争いできる力を身につけたF東京のサッカー(F東京vs.新潟)

このエントリーをはてなブックマークに追加
[11・30 J1第33節 F東京 1-0 新潟 味スタ]

田村修一の「視点」

 試合全体を通してボールを支配していたのはF東京。新潟もカウンターでよくチャンスを作っていたが、個人の突破や組織での崩しと、よりバランスよく攻めていたF東京が勝った試合となった。

 今年リーグ優勝する可能性は無くなったが、F東京はこの一年で首位争いができるレベルまでチーム力を上げた印象だ。ポゼッションをしている上にスピードのある攻撃ができている。そして苦しい試合でも自分たちのサッカーを貫いて勝てるようになった。まだ90分間通してハイレベルなプレーをすることはできないが、各プレーからどう崩したいかという意図を感じる。あえて難易度の高いサッカーを目指しているところには好感も持てるし、試合を見ていて面白さを感じる部分も多い。
 彼らのサッカーから特によさを感じるのが全体の中で個が生きているということ。この日は新潟に崩される場面の方が多かったが、それでも羽生や石川の速さが出ていたし、平山が個人で決定的なチャンスに絡んでいくところもあった。
 ACL優勝のG大阪と比べると、ボールのないときの選手の動きなど組織の点は劣る。完成形ではない。だが、決してパスサッカーだけに陥ることなく、石川のドリブルや長友の強さといった個の力を活かし、組織で崩すところとのバランスも取れている。ポゼッションが高いといっても10年前に磐田がやっていたパスサッカーと違うのはこの点だ。キレイに崩すことだけでなく、やや荒っぽい“イケイケ的”な要素を含んでいることがより面白さを発揮していると思う。
 判断のクオリティやプレーの正確性の面もまだまだ。だが機能的なスタイルと“イケイケ的”な荒っぽさ両面を併せ持つサッカーは魅力を感じるし、ACLなど上のレベルの舞台に出てより高めてもらいたいと思う。

(取材 フットボールアナリスト田村修一)

TOP