beacon

ジレンマに悩むJ2王者、広島は2連敗で失速

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.22 J1第3節 鹿島2-1広島 カシマ]

 J1王者相手に奮闘したサンフレッチェ広島は最後の最後に力尽き、2連敗となった。0-1の後半16分、FW佐藤寿人の獲得したPKをDFストヤノフが決め、1-1に追いついたが、後半ロスタイムにCKから決勝点を許した。

 佐藤寿は「アウェーで勝ち点1なら悪くなかったし、最後にセットプレーでやられたのは悔いが残る。勝ち点1は取れた」と唇をかんだ。3試合で7失点はリーグワースト2位タイ。佐藤寿が「3試合で8点以上取らないと勝てないわけだし、難しい部分がある」と言うように守備面の修正は急務だが、攻撃面でもジレンマはある。

 鹿島を相手に広島らしいショートパスが細かくつながる時間もあった。だが、シュート数は90分で8本。決してフィニッシュまでつながる回数は多くなかった。GKを含めた最終ラインからビルドアップするパスサッカーは一転して逆襲をくらうリスクも伴う。この日の失点自体は2点ともセットプレーからだったが、3試合で7失点、1勝2敗という結果は決して無関係ではないだろう。

 内容に結果が伴いにくいという面もある。実際、2シーズン前も現在のようなパスサッカーで高評価を得ながら、なかなか勝ちにつながらず、J2降格の憂き目に遭った。自分たちのスタイルをどこまでも貫くのか、それともマイナーチェンジを施していくのか。圧倒的な強さでJ2を制しても、それがそのままJ1で通用するとは限らない。悩みは深まるばかりだ。

 MF柏木陽介が「今のサッカーを信じて戦っていけば勝てると信じている。どんな相手にも勝てると。結果が出るまであきらめずに顔を上げていきたい」と力説した一方で、佐藤寿は「2回、3回のパスでフィニッシュまで行くことにもトライしていかないと」と言った。選手間の意思統一が図れないと、このまま迷走していく危険も付きまとう。

(取材・文 西山紘平)

TOP