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稲本の川崎F入団会見要旨

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 レンヌ(フランス)から川崎フロンターレに加入したMF稲本潤一が15日、等々力陸上競技場で入団会見を行い、9年ぶりとなるJリーグ復帰、川崎Fでのタイトル獲得へ強い決意を口にした。
以下、記者会見要旨

●MF稲本潤一
「久しぶりの日本でのプレーを楽しみにしている。ここに来るまで実感がわかなかったが、これだけの数のマスコミを前にして、日本に帰ってきたんだなという実感がわいた。期待されているんだなとも思うし、その期待を楽しみにして、応えられるようにしたい。川崎Fのイメージは、僕がJリーグにいたころは正直、そんなに強いイメージはなかったけど、ここ数年ですごくレベルアップして、あと一歩でタイトルというところまで来ている。少しでもチームの力になれるように、タイトルを獲れるように頑張りたい。今年1年は大切な年。全力でプレーしたい」

―日本復帰を決断した理由、川崎Fを選んだ理由は?
「欧州に行く前から、30歳になる年に帰ってこようと思っていた。ベストのコンディションのときに戻ってきて、Jリーグでやりたいと思っていた。1年半、契約が残っていたけど、このタイミングで帰ってこれてうれしい。川崎Fを選んだのは、昨シーズンのDVDをほぼ全チーム見て、自分のやりたいサッカー、自分を生かせるサッカーだと確認して川崎Fに行きたいと思った」

―今年W杯があることも移籍の理由か?
「W杯だけを見て、帰ってきたわけではない。もちろん、代表監督は日本人で、監督の前で常にプレーできるというのは重要だけど、日本に帰ってくることが大きな目的だった。W杯に行くことも大切だけど、まず川崎Fでタイトルを獲ることが一番だと思っている」

―代表のことを考えて日本復帰がプラスになるのはどんなところか?
「メンバーに選んでもらえたらの話だけど、常に合宿に参加できるのは、海外にいるより有利だとは思う。Jリーグは監督に見てもらうことも多いだろうし、代表のことだけを考えれば、そこはプラスだと思う」

―自分のどういうプレーが川崎Fで生かせると思ったのか?
「ボールを取ってから前に早いサッカーをする。そこは僕の特徴でもあるし、僕のところでボールを取って早く前に出すとか、DVDを見て、生かせるなと思った」

―25日からの代表合宿に招集されると、川崎Fのキャンプに参加できなくなり、チームにフィットする時間が限られるが?
「できる限り川崎で練習すること、コミュニケーションを取ることが大事だけど、同じ日本人同士なのでコミュニケーションは取りやすいし、7チーム、海外でやって、いきなり移籍して1週間で試合に出たことも多々あった。問題はないと思う。もちろん、久しぶりに帰ってきて、日本の環境になれる必要はあると思う」

―日本の環境に慣れるために何が必要か?
「難しいですね。住む家とか、生活環境を整えて。普段の生活でも注目されると思うし、そこに慣れるとか。海外から帰ってきて、Jリーグでやる難しさは覚悟している。できる限りチームに貢献するためにすべての面で努力したい」

―川崎Fのイメージ、サポーターのイメージは?
「正直、そんなに強いイメージはなかった(苦笑)。申し訳ないです。サポーターに関してはホームの試合はいい雰囲気でできると聞いているので、すごい楽しみにしている」

―この9年間で日本のサッカーはどう変化し、稲本選手自身はどう変化したと思うか?
「Jリーグがどう変わったかはやってみないと分からない。DVDを見ていて、スピーディーになったし、個人の技術レベルは高い印象がある。僕のどこが変わったのか、自分では感じてないし、やってみないと分からないけど、長く海外でプレーすることで経験は培ってきたと思う」

―移籍する際、中村憲剛に相談はしたのか?中村憲剛とプレーすることについては?
「電話番号を知らないので、連絡は取れてない(笑)。憲剛はより高い位置、FWに近い位置でプレーした方がチームも憲剛自身も力を生かせると思うし、なるべく高い位置でプレーさせたいと思っている」

●武田信平社長
「最大の課題はボランチの強化と考えていた。稲本選手のような経験豊かで有能な選手が来てくれたのは理にかなったベストな補強だと思っている。昨シーズンを振り返ると、半歩は踏み出したが、1歩を踏み出せなかった。今季、その1歩を踏み出してタイトルを獲るには技術、戦術、精神面でレベルアップを目指さないといけない。その実現のためになくてはならない、必要不可欠な選手だと思っている。稲本選手は心技体、申し分のない選手。加えてW杯という大舞台や欧州での経験もある。そこで身に付けたものをフロンターレで実践してくれることによって、一段と強い、タイトルを獲れるチームに成長できると思う。持っているものを100%出して、チームのリーダーとして牽引してもらって、優勝に導いてくれることを強く期待している」

●福家三男強化本部長
「補強のポイントは各ポジションのレベルアップだと考え、チームの安定感をポイントにしてスカウティングしてきた。ボランチは攻守の要で、去年の試合の反省点として、攻撃から守備への切り替えがポイントだった。そこを重点ポイントとして選手をリストアップした。稲本選手は素晴らしい経験を持っていて、チームが結果を出すために大きな力になってくれると期待している。タイトル獲得へ自信が付いた。チームはもう1つステップアップできると思う。守備能力も高い選手で、チームに安定感をもたらす欠かせない選手だと思う。稲本選手を加えた29人で目標のタイトルに向かっていきたい」

高畠勉監督
「今シーズン、我々が優勝するために必要な補強を強化部と話し合い、中盤で核になる選手をお願いしたところ、稲本選手の名前が挙がった。よろしくお願いしますとお願いし、こうして実現することができた。目標はタイトル。プラスアルファで考えたとき、精神面が大事だと思った。プレー面はもちろん、欧州での経験を生かした精神力、メンタル面でチームを引っ張っていってほしい。ボール奪取能力が高く、そこから攻撃へ展開し、得点力もある。守備から攻撃へ、攻撃から守備へ、中盤で核になる選手として優勝に導いてほしい。層が厚くなり、頼もしい思いでスタートできる。プラスアルファの力を加えて、フロンターレらしい攻撃サッカーで優勝を目指したい」

<写真>左から高畠勉監督、稲本潤一、武田信平社長、福家三男強化本部長

(取材・文 西山紘平)

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