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F東京・平山、恩師を救えず。「もっともっと点を取ることが必要だった」

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[12.4 J1第34節 京都2-0F東京 西京極]

 奮闘した。しかし、最後の最後で、エースとしての仕事ができなかった。プレーの質は良かったが、結果だけが遠かった。FC東京のFW平山相太は両軍最多の6本のシュートを放ったが無得点に終わり「1年通して、応援してくれたサポーターに申し訳ないです」と消え入るような声で謝罪した。

 恩師の期待に応えたかった。9月にU-20日本代表などで師弟関係だった大熊清監督が就任。すると、それまで控えに回ることが多かった平山は、絶対的なレギュラーに抜擢された。大熊監督の初采配となった9月25日の大宮戦から、出場停止の1試合を除いてリーグ戦10試合すべてに先発起用。それまで2得点だったが、その間に5得点を量産した。さすがの活躍を見せたが、大一番であと一歩、届かなかった。

 特にこの日は蓄積疲労があると判断された元日本代表FW大黒将志がベンチスタート。平山が1トップを務め、トップ下に同い年で、各年代の代表でも司令塔とエースとしてプレーしてきた梶山陽平、右MFに筑波大時代にコンビを組んでいたMF鈴木達也が配置された。まさに“平山シフト”だっただけに、余計に無得点に終わった自らを責めた。

 「足りなかったもの? 実力です。自分が点を取った試合も、取れなかった試合もあるけど、もっともっと点を取ることが必要だった。それがFWの責任。申し訳ないです。必ず1年でJ1に戻ってきたいです」

 平山は1年でのJ1復帰を口にした。クラブとは複数年契約のため、よほど高額オファーが来ない限り残留することが濃厚だ。何より、オランダ・ヘラクレスから戦力外通告を受けた中、拾ってくれたFC東京に恩義を感じている。エリート街道まっしぐらだった怪物FWだが、この苦難もきっと、さらなる成長のため。来季もFC東京の最前線に君臨し、1年でJ1へ復帰させる。そして、恩師・大熊監督を胴上げするつもりだ。

[写真]涙を抑えてピッチを去るFW平山

(取材・文 近藤安弘)

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