beacon

北嶋、「マツさんが天国で見てて、退屈しないような試合をしようと思っていた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.6 J1第20節 柏2-0横浜FM 柏]

 首位を撃破し、4試合ぶりにその座を奪回した柏レイソル。故・松田直樹さんの追悼試合とあって、ホームスタジアムがいつもとは違う雰囲気に包まれたが、飲まれることなく勝利をつかんだ。横浜FMの選手たちは、松田さんに白星を届けるべく戦ったが、エースFW北嶋秀朗も松田さんへの想いを抱きながらプレーしていた。

「マリノスの選手、サポーターだけじゃなく、全チームの選手やサポーターに思うところがあるはず。僕はサッカー選手としてマツさんを尊敬してきた。今日は、マツさんが天国で見てて、退屈しないような試合をしようと思っていた。いい試合が見せられたかなと思う。僕は僕で、追悼の思いを込めてプレーしようと思っていた」

 北嶋は試合後、故・松田直樹さんへの想いを明かした。学年は北嶋が2つ下だが、シドニー五輪予選や優勝した2000年のアジア杯などで一緒に戦ってきた戦友だ。「よく対戦してきたし、代表でも一緒にやってたことがあって、個人的に想いはあった。とにかく自分の気持を伝えるためにも、しっかりと戦いたいと思っていた」。

 横浜FMに情けをかけることではなく、真剣に戦い抜くことが、何よりの供養になると思った。結果、ゴールはなかったが、いつもように体を張ってハイボールを競り、先制点にも絡んだ。そのほか守備面では、積極的なプレスをかけるなど献身的なプレーで勝利に貢献した。「守備については監督から口うるさく言われているので。センターバックのところとボランチのところと俊輔が降りてくるところ、そういうところは気を使った」と北嶋。これらの頑張りがあって、柏は中盤でボールを奪う回数が増え、主導権を握ることができた。

「ここ(日立柏サッカー場)で首位に戻れたことはうれしい。首位に返り咲いたのは、凄く大きいと思う。試合前から勝てれば首位だと言っていて勝てたのは、チームの成長を感じる。内容的にも成長を感じられますね。この座を渡さなようにしていきたい」

 北嶋はこういう状況下でもしっかりとした試合内容で、なおかつ直接対決を制しての首位奪回に、チーム力アップの手応えを口にした。すでに、松田さんがマリノスでそうだったように、北嶋も精神的支柱として柏を支えるが、戦友の死を受けて改めて、より一層、後輩たちを引っ張っていくという思いを強くしたエース。これからも“ミスターレイソル”が最前線に君臨し、歓喜を届け続ける。

[写真]柏FW北嶋(9番)

(取材・文 近藤安弘)

TOP