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敗戦にも手応え、1ゴールのF東京・長谷川「下を向いてる選手はいない」

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[3.3 富士ゼロックススーパー杯 柏2-1F東京 国立]

 飛躍の予感はあった。昨季、J2と天皇杯の2冠を達成し、1年でのJ1復帰を果たしたFC東京は柏に1-2の惜敗。それでも、J1王者をあと一歩まで追い詰めた。

「楽しい。やろうとするサッカーも楽しいし、やろうとしていることは100%ではないけれど、できていたと思う」。今季、横浜FMから加入したMF長谷川アーリアジャスールは移籍初戦を終えた手応えを聞かれ、充実感に満ちた表情を浮かべた。

 4-2-3-1のトップ下で先発出場を果たすと、前半17分には後方からのパスをFWルーカスに流し、再びボールを受けてシュートに持ち込むなど、いきなり存在感を示した。

 しかし、チームは主導権を握りながら、ミドルシュートとPKで2点のリードを許してしまう。後半に入ってからも、守備に重点を置いた柏をなかなか崩せない。選手交代で打開を図ったポポヴィッチ監督は後半18分にFW渡邉千真を投入。ルーカスがトップ下に下がり、長谷川は右サイドにスライドした。

 すると、迎えた後半20分、左サイドを抜け出したMF高橋秀人からの折り返しをゴール前に詰めていた長谷川が右足で合わせる。一度はGK菅野孝憲に防がれたが、浮いたボールを頭で押し込み、1点を返した。

「前半はルーコン(ルーカス)が孤立していたので、後半はゴールに向かう動きを増やそうと思っていた。その意識があったから、ゴール前に入っていくことができた。最初のシュートをGKに止められたときは焦ったけど、こぼれた位置もよかった」

 さらに後半40分、MF河野広貴が投入されると、長谷川はボランチにポジションを変え、攻撃の組み立て役に回った。「(F東京では)チームのやることを理解していれば、個人が生きると思う。トップ下、右サイド、ボランチに入ったけど、チームのためにプレーすることを考えている」。柔軟に複数のポジションをこなせる能力は、控えにも渡邉、河野、FW平山相太といった個性的な選手を有すチームにとって大きな武器になる。交代枠を最小限しか使わずに、攻撃に変化をつけることができるからだ。

「今日は結果が出なかったから、さすがに笑っている選手はいなかった。でも、下を向いている選手もいなかった。細かいところを話し合って修正すれば、次につながると思う」。敗戦の中にも、つかんだ確かな手応え。新加入の背番号8は「日本を代表するつもりでやってきます」と、6日に迫るACL初戦・ブリスベン戦へ早くも気持ちを切り替えていた。

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