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[総理大臣杯]インカレ王者専修大、PK戦制し冬夏連覇へ前進!

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2012年度第36回総理大臣杯全日本大学トーナメント
[7.12 総理大臣杯準々決勝 専修大0-0(PK3-2)中京大 J-GREEN堺メインフィールド]

 2012年度 第36回 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントは12日、準々決勝を行い、1月の全日本大学選手権(インカレ)優勝の専修大は同4強の中京大と対戦し、0-0で突入したPK戦の末、3-2で勝利。駒澤大と対戦する準決勝(14日)へ進出した。

 異様な空気に包まれていたPK戦を1年生守護神が締めた。0-0でもつれ込んだPK戦。ともに2人が成功して迎えた3人目、先行・中京大のCB新里亮(4年=岡崎城西高)の右足シュートがゴール左へ外れると、中京大は4人目のFW畑直樹(2年=清水ユース)のシュートもクロスバーの上を越えてしまう。直後、専大は入れば準決勝進出の決まるシュートを全日本大学選抜SB北爪健吾(2年=前橋育英高)が上方へ外してしまった。ただ、専大は1年生GK福島春樹(静岡学園高)が相手の5人目・MF佐藤和弘(4年=磐田ユース)のシュートを右へ跳んで右手ワンハンドでストップ。チームメートを振り切ってハーフウェーラインまで走りきった福島は笑顔で駆け寄った先輩たちに捕まると、手荒い祝福を受けていた。

 試合は立ち上がりから、MF下田北斗(3年=大清水高)とMF長澤和輝(3年=八千代高)、FW仲川輝人(2年=川崎F U-18)、北爪と全日本大学選抜4人を擁す専大がボールを支配する展開。前半18分には長澤の右足ミドルのこぼれ球にFW大西佑亮(4年=鹿島ユース)が反応し、20分には左クロスのこぼれ球を仲川がGK不在のゴールへ頭で押し込もうとする。だが、これをDFにゴールライン上でスーパークリアされると、その後も長澤の強烈なミドルシュートが相手のゴールを襲っていたものの、背後のスペースを消した中京大の新里と須崎恭平(3年=磐田ユース、前・ジュビロ磐田)の両CBにクロスをことごとく跳ね返されるなど決定機をつくることができない。

 逆に中京大は最前線で構えるFW中村亮太(4年=中京大中京高)と右FW清水貴文(2年=磐田ユース)のスピードを活かしたサイド攻撃からあわやの場面をつくり出す。特に後半は、MF藤橋優樹(2年=市立船橋高)を起点にカウンターを繰り出すと、確実にシュートにまで持ち込んできた。後半21分、清水の右クロスを佐藤が左足ボレー。27分には交代出場のFW南部健造(2年=東京Vユース)のドリブルシュートのこぼれ球を中村がプッシュする。だが専大GK福島の好守に阻まれると、42分に佐藤のポストプレーから中村が放った左足シュートもゴールを破ることができない。王者を仕留めるチャンスはあったものの、中京大はわずかにゴールが遠かった。

 専大は、2日前に関西大と延長戦まで戦い、そのほとんどの時間でボールを回されて走らされた影響で運動量が上がらない。インカレで4戦18発をたたき出し、今季の関東リーグでも11試合33ゴールを決めている本来の攻撃力を発揮することができなかった。なかなか相手の背後を取ることができず、いつもならば引っかからないようなところで相手にボールをカットされては逆襲を食らっていた。後半34分に仲川のラストパスから長澤の放った右足シュートはDFに当たって跳ね上がり、クロスバー直撃。直後に個人で左サイドを打開した長澤の折り返しを交代出場のMF星野有亮(2年=静岡学園高)が左足で叩いたものの、このシュートはゴールわずか左に外れた。

 訪れたビッグチャンスも活かせなかったチームは延長戦のシュートわずか1本。薄氷を踏む準決勝進出にも源平貴久監督は「関大との試合で90分間ずっと回されてこれだけ動けたら大したもの」と110分間を走りきった選手たちを讃えていたが、「(今大会は)まだ20分しかいいサッカーをしていない。(初めて専修大のサッカーを見る)関西の人たちにこんなものだと思われないように、内容を突き詰めて結果を出したい」。長澤も「肉体的に疲れている中でもフレッシュな気持ちで楽しいサッカーをやること。『攻撃的で美しいサッカー』をしっかりやるという気持ちを持ちながらやる」と誓っていた。

 総理大臣杯初出場のインカレ王者はこれで全国大会通算7戦全勝。危機も乗り越えて冬夏連覇へ前進した。専大は今大会、1回戦で全日本大学選抜CB栗山直樹(4年=清水東高)が左ひざを負傷して離脱。さらに2回戦では主将のCB鈴木雄也(4年=武相高)が前半20分に一発退場となり、この日の準々決勝は出場停止だった。昨年度、チームを日本一へ導いた2人のCBの欠場。司令塔の下田は「後ろの2人は絶対的。自分たちは乗っかって、支えられていいプレーができていた。いなくてその大きさを感じた」と口にする。ただ、今大会途中から本来のCBでプレーする本名正太朗(3年=川崎F U-18)と1年生CB冨田将司(三菱養和SCユース)のコンビがその穴を埋め、相手の“危険人物”中村を封じ続けるなど無失点で乗り越えた。

 この日は56分間、2回戦でも43分間、4年生が1人もピッチにいない状況での戦いを強いられたが、自覚の高まった3年生以下の必死の戦いぶりもあって準決勝へのチケットをもぎ取った。次戦ではチームの頭脳とも言える鈴木も復帰。準決勝では下級生たちの奮闘に応えたい鈴木、大西、MF牧内慶太(4年=柏U-18)ら4年生の強い気持ちも加えて、関西のファンの前で魅力的なサッカーを演じて勝利もつかむ。

(取材・文 吉田太郎)
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