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[MOM737]日本文理大GK清水羅偉(4年)_絶対的守護神

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.24 総理大臣杯1回戦 静岡産業大1-2日本文理大 会場非公表]

 日本文理大の主将を務めるGK清水羅偉(4年=大分U-18)の存在感はピッチ上で群を抜く。180cmという身長はGKとして小柄だが、鋭いシュートセーブで相手の決定機を何度もストップ。1試合通じて絶えることがないコーチングもチームへの貢献度が高い。

「頼れる存在。最後の所で止めてくれる安心がある」

 そう評するのはFW高昇辰(3年=京都朝鮮高)で、最後尾にいながらにして、勝利を引き寄せられる選手と言えるだろう。

「彼が最後尾から声を出し、ピンチの場面で“触れる”のは大きい。今日もやられている状況で、最後に清水が触って防げているシーンがあった。頼りにしている選手」。西野晃平監督の言葉通り、初戦突破を果たした静岡産業大との試合でも、清水の存在感は大きかった。

 大会前に行った練習試合の映像を参考に、守備意識を高めたことで「球際の所でいつも以上のプレーができた」(清水)のが、今日の勝因の一つ。相手にボールを持たれる時間が多かったが、自陣ゴール前や中盤での攻防をしっかりと制して、チーム全体で危ない場面を封じた。

 フィールドの選手が思い切りの良い守備ができたのも、「自分は後ろから全て見えている。全国の舞台で上手く行かなかった時は、自分が背後にロングボールを入れて時間を作ろうと考えていた。そうしたはっきりしたプレーとコーチングで、チームを落ち着かせたかった」という清水の貢献だ。

 守備に漏れがあったとしても、最後尾には清水が立ちはだかる。前半23分にはサイドを抜け出したMF東山達稀(4年=静岡学園高)が決定的なシュートを放ったが、清水が触ってCKに。後半12分に打たれたFW早川諒祐(4年=磐田U-18)のシュートも、好セーブで凌いだ。試合終了間際に1点を許したが、難しい初戦突破を果たせた要因の一つが、清水であったのは間違いない。

 小さい頃から、プロサッカー選手ではなく、“大分トリニータの選手”になることを夢見てきた。U-18時代は2種登録を経験し、大学に進んでからも何度か練習参加もしたが、今年に入ってからは他チームでのプロ入りを視野に入れ、J1からJFLまで各カテゴリーのチームの練習参加を経験した。

 だが、すぐに内定が貰えるほど、プロの世界は甘くない。「どこも手応えを掴めなかった。自分のサイズでプロでやっていこうとなると、守備範囲を広げないといけない。プロの世界では自分が届かない所を狙ってくると感じた」。

 この日の試合では、そうした課題を克服すべく、思い切りの良くハイボールに飛び出していく姿が目立った。試合終盤に訪れた場面でも相手との接触を恐れず、前に出てピンチをストップ。「最近のJのキーパーや世界のキーパーはハイボールに飛び込んでいくシーンが多い。自分が先に触ることができれば、味方を助けることになる」と話す通り、より上のステージを目指し、貪欲に成長しようとする姿勢は、必ず成果として表れる日がやってくるはずだ。

 今大会は彼にとって就活の舞台でもある。2回戦以降も、見る人の印象に残る活躍を繰り返し、卒業後の進路をつかみ取る。

(取材・文 森田将義)

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