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[クラブユース選手権(U-15)]決勝で中丸ハット!横浜FMジュニアユースが2年前とは異なる意味合いを持つ栄冠

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[8.12 日本クラブユース選手権(U-15)大会決勝 横浜FMジュニアユース 3-0 F東京U-15むさし 帯広の森陸上競技場]

 2年ぶりの戴冠だが、2年前とは異なる意味合いを持つ栄冠だった。12日、帯広の森陸上競技場で行われた第30回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会決勝戦。横浜F・マリノスジュニアユース(関東4/神奈川)は、3-0の大差でFC東京U-15むさし(関東13/東京)を下し、夏の王者に輝いた。

 立ち上がりから連戦の疲労を感じさせないアグレッシブさでゲームの主導権を握ったのは、横浜FM。自慢の前線デュオ、棚橋尭士&中丸流佳を前に押し出しつつ、3枚で構成するF東京むさしの中盤中央に対しては、「ウチは真ん中が2枚なので、サイドハーフが早く中に絞るようにした」(MF榊原彗悟)と言うように、戦術的にしっかり対応。中盤の主導権争いでも前半から先手を取る形で、相手の攻撃に怖さを加えさせなかった。

 5分には中丸、20分には棚橋がそれぞれ裏に抜け出す決定機を迎えるが、前者はシュートが枠外へ、後者は相手GK萩原颯都の好守に阻まれる。32分にMF土佐陸翼が放ったミドルシュートもゴールバーを直撃し、得点は生まれず。対するF東京むさしも24分にFW久保建英のスルーパスからFW戸坂隼人が抜け出す絶好機があったが、このシュートも枠外へそれていった。

 攻めていながら点を取れない横浜FMにとってはもどかしい流れで、坪倉進弥監督も「これは前半0-0でも仕方ない」と腹をくくった前半39分(40分ハーフ)のことだった。起点となったのは、DF梶山かえでから前線へ蹴り込まれたロングボール。これに対して中丸が「自分を狙ったボールじゃなかったと思うんですが、来るかもと思って走っていたら上手く収まった」と反応。素早いターンからのシュートがネットを揺らし、「欲しい時間に取ってくれた」(坪倉監督)先制点が生まれた。

 前半終了間際の得点で勢いに乗った横浜FMは後半開始早々にも試合を動かす。後半2分、榊原のスルーパスから抜け出したのはまたも中丸。これがキッチリ決まったことで、若きトリコロール軍団の優位は決定的になった。続く後半4分にも棚橋のパスから中丸がダイレクトボレーで突き刺して、ハットトリックを完成。残り時間も相手の反撃を許さず、横浜FMが2年ぶりの頂点に立った。

 優勝した横浜FM・坪倉監督がその要因として挙げたのは、精神面。「宿舎での過ごし方が素晴らしかったし、劣勢の試合で耐えられるメンタリティがあった」ことを評価する。選手たちも同様に、「仲が良くて団結力があった。ベンチ外の選手たちもすごく助けてくれた」(中丸)こと、「チーム全員、あきらめない気持ちがある」(榊原)ことに胸を張った。

 坪倉監督は「大会前から優勝して当たり前だと思っていた」と言うタレント集団だった2年前に比べて今年のチームは「決して悪くはないけれど、それでもベスト16か8くらいだろうという感触だった」と率直に語る。その上で「この年代はちょっとした切っ掛けで日ごろの積み重ねが試合でも出るようになり、急成長したようなプレーを見せるようになる。あらためてそのことを子どもたちに教えてもらった」と、大会を通じて確かな進歩を見せた選手たちを讃えた。

[写真]後半4分、横浜FMジュニアユースは中丸(11番)がこの日3得点目となるゴール

(取材・文 川端暁彦)

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