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[連載:川崎F・U-12世界一への道のりvol.1]“小さな巨人”がダノン杯4連覇でスペインへ

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 9月3日から4日まで、神奈川・横浜市のマリノスタウンにてU-12の日本一を決める「ダノンネーションズカップ2011 in JAPAN 決勝大会」が行なわれた。川崎フロンターレU-12が見事に大会4連覇を達成。10月7日からスペイン・マドリッドで行なわれる世界大会へ、4年連続で出場権を獲得した。

 “ダノン杯”は10歳から12歳までの小学生年代の少年少女が出場するFIFAの世界大会に通じるもので、10歳から12歳までの小学生チームが9人制20分1本というルールの中で覇権を争う。体格差が大きく影響を与えるこの世代の大会において“小さな巨人”といえる川崎F・U-12がテクニックで栄冠を勝ちとった。


 まさに、圧倒的な強さを見せつけた。前述したがこの世代は体が大きく、身体能力の高い選手を擁するチームは、それだけで圧倒的なアドバンテージを得る。だが、川崎F・U-12においては160cmを越えるのはストッパーを務めるDF伊従啓太郎のみ。大半が小柄な選手で、他の強豪チームと比べても大きいとは言えない中、指揮を取る高崎康嗣監督は選手の自主性を重んじ、個性と組織性を兼ね備えた好チームに仕上げてきた。

 1日目のグループリーグを無敗の3勝1分の1位で勝ち抜いた川崎F・U-12だったが、2日目の決勝トーナメントでは準決勝まで全てJのアカデミークラブという厳しい組み合わせとなった。しかし、1回戦の鹿島アントラーズつくばを138cmという小柄なCF高橋真のゴールで退けると、準々決勝ではサンフレッチェ広島ジュニア相手に、MF小川真輝、MF田村康太、FW高橋真、MF池谷祐輔の4ゴールで圧勝した。

 これで勢いに乗った川崎F・U-12は、先の全国サッカー少年サッカー大会ではPK戦で涙をのんだ因縁の相手、柏U-12と準決勝で激突したが、プライドをぶつけて勝利をつかむ。苦しい試合展開となったが、高橋真、MF小川真輝のゴールで2-1と競り勝った。こうなると、チームはさらに自信を付け、波に乗った。

 決勝戦は圧巻だった。1FC川越水上公園と対戦したが、ロングスローのバウンドにうまく合わせた高橋真のヘディングシュートで先制すると、技巧派の攻撃的MF池谷祐輔がドリブルシュートで追加点、その後も高橋真、池谷がそれぞれ1点ずつを追加し、4-0の完勝。選手たちは満面の笑みで、金メダルを首にかけた。

 大会ベストイレブンにはDF村田聖樹と高橋真が選出されたほか、大会得点王には9得点を挙げた高橋真が輝いた。高橋真は「世界でもたくさん点を取って得点王になりたい。目標は優勝です」と目を輝かせる。さあ、次は世界だ。最高の結果を残した選手たちだが、浮かれることはない。高橋真の言葉通り、チームの目標はあくまでも世界一だ。

 川崎F・U-12は08年のフランス大会10位で、新型インフルエンザのため2010年に09年大会と合わせて行われた南アフリカ大会では9年度が4位、10年度が5位だった。今回は5位以上を、そして世界一の栄冠を目指す。今回、“小さな巨人”、川崎F・U-12の世界一までの道のりを短期連載でお送りする。

[写真]大会4連覇を果たし、世界大会に出場する川崎フロンターレU-12

(取材・文 井上俊樹)

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