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[The New Football]Vol.5:中高生プレーヤーのニーズを汲み取り、提案していくことこそが新しいトレンドになる

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「すべてはアスリートのために」という理念の下、常に革新的なギアを開発してきたアディダスが打ち出した新たなコンセプトが「The New Football」だ。常に一歩先のフットボールを追求する同社の最先端イノベーションは、スパイクやユニフォームだけにとどまらない。その時代のフットボールの潮流を踏まえ、最新のテクノロジーをあらゆる分野に投入。日本を代表するトッププレイヤーから中高生まで、すべてのフットボーラーが最高のパフォーマンスを発揮するために、アディダスは今後もさらなるイノベーションを追い求めていく。今回はマーケティング事業部の山本健氏に「The New Football」について話を聞いた。

――4年に一度の世界大会が行われた14年、「all in or nothing」をキーワードにアディダスは活動していましたが、今後キーワードとして掲げていく「the new football」のコンセプトを具体的に教えてください。
「14年のキーワードである『all in or nothing』とは、『すべてをかける時がきた』という意味でした。まさに4年に一度の世界大会に特化したキーワードの下に活動してきましたが、我々はフットボールを進化させていくブランドでなければならない、次のフットボールを提案していかなければならないという意味で、今後は『the new football』をキーワードに掲げていきます。アディダスの創始者であるアドルフ・ダスラーは、『すべてはアスリートのために』と常々言っていました。プレーヤーが進化の原点にあることから始まっており、一番重要なのはプレーヤーが何を求めているかです。そして、さまざまな環境の変化に応じて、そこに適したモデルを提案し、フットボールを次の段階へと引き上げていく。それが、我々に課せられた使命だと思っています」

――一昔前に比べると快適なギアが次々と出ていますが、その変化をどのように感じていますか。
「確かに進化してきていますが、まずスポーツブランドとしてやらなければならないのはプレーヤーのパフォーマンスを妨げず、いかにポテンシャルを引き出せるかを考えるのが重要です。フィジカル面のポテンシャルを引き出すということも当然あり、そこからボールタッチ、ボールコントロールなどのテクニック面でのサポートをする。そして、今後重要になってくる要素の一つがメンタル面だと感じています。フィジカル面、テクニック面、さらにメンタル面をいかに追求していくかですが、これはどこかに終わりがあるものではなく、常々進化、そして変化していくものです。そして、フットボールの進化を促していく『the new football』に取り組むにあたって、数値化のサービスが一つにキーになっていくと思います」

――数値化のサービスとは、どういうことでしょう。
「3つのデータ測定がフットボール界にはあり、1つ目が走行距離やスプリント回数などが測定できる『マイコーチ スピードセル』、2つ目がアンダーシャツにデバイスを付けることで心拍や運動の強度が測定できる『マイコーチ エリート』、そして3つ目が蹴ったボールの軌道や回転数を測定する頭脳を持ったボール『マイコーチ スマートボール』です。そのデータサービスをいかにフットボールの世界に提供できるかというのが、『the new football』の一番のミッションだと感じています」

――データサービスをどのようにフットボールにつなげてほしいという思いがありますか。
「正直、我々は数値化するところまではお手伝いできますが、その数字をどう練習やチーム戦略、戦術に落とし込むかはチームのマネジメント次第になってしまいます。将来、サッカー日本代表が世界一になる目標を達成して頂くためには、フットボール界の底上げを担う中高生の皆さんが育っていかなければ、一生そこには辿り着けないと思っています。その底上げのためにデータを有効に使って頂き、チームなりの正しい練習や正しい戦略を導いてチームの強化につなげてもらえれば、それが自然と日本のフットボールが強くなることにもつながっていくと信じています」

――データサービスは、先ほど話にあったメンタル面にどのような影響を与えると考えていますか。
「データを活用することで自分のことを客観視できるのは、メンタル的には良いことだと思っています。今までは『後半になったら足が止まってしまう』と思っていた選手が、実際は後半も走行距離や速度が落ちていないというデータが出れば、『自分は後半になっても走れる』というメンタル面の向上につながるはずです」

――中高生に数字で示してあげるのは、何をすべきかが伝わりやすそうですね。
「数値化して表すことで、ベースとなる練習でいかに客観的に自分たちを見て、どこが足りないかを分析するのは必要だと思いますが、忘れてはならないのはフットボールは局面局面のひらめき、フィールドに立ったプレーヤーが何を考え、瞬間的に何ができるかが重要になってくるはずです。だからこそ、プレーヤーがストレスを感じずにプレーできる、体に負担が掛からずに無理なく動けるように、スパイクやアパレルを進化させていくことも我々には求められていると思っています」

――スパイクやアパレルはどのような進化や変化を見せていくのでしょう。
「スパイクの機能は現在もスピードタイプ、ボールコントロールタイプ、ハードワークタイプ、バランスタイプと細分化されていますが、さらに自己表現できるデザインやバリエーションが増え、スパイクが自分のキャンパスのようになる傾向が強くなると考えています。自分だけの色のパターンを選べるサービスは現在も行っていますが、そういった自分たちのオリジナルを作っていくトレンドは増えていくかもしれませんし、現在でも試合における勝負靴とトレーニング用の練習靴と分けているプレーヤーもいると思いますが、試合における勝負靴へのこだわりを持つプレーヤーが増えていくかもしれません。試合前にオリジナルのスパイクを見て気持ちを上げてもらうことで、メンタル面を充実させることにつながると思います」

――今後メンタル面に特化したギアが増えていくのでしょうか。
「スパイクだけでなくアパレルでも、軽い生地を追求したり、衣服内温度を適切に保ち、汗をかいてもべたつかずに重くならないようにすれば、もっと快適に動けると思います。自分の足にフィットしている靴ならば、足が疲れたときにも靴擦れが一切起こりませんし、例えば現在出ているナイトロチャージの前足部にはゴムのバンドが入っていて、サイドステップを踏んだときに反動で逆側に戻ることで次の一歩が踏み出しやすくなっています。こういったものをどんどん進化させて提供することで、疲れたときに下を向くのでなく、『もっと走れるんじゃないか』『もっと動けるんじゃないか』と、上を向いてプレーしてもらえるのではないかと思います」

――今後、中高生に向けて何か取り組もうとしているものはありますか。
「プロ選手が選手入場や国歌斉唱のときに着用しているアンセムジャケットってありますよね。例えば高校や大学の世界でも取り入れることができないか? とか。フィジカルやテクニカルなものではありませんが、メンタルに関して言うと、例えば高校選手権に出場したチームならば、母校や県を代表して出場しているのだと気分を上げる部分で非常に効果的かと思います。試合前にアンセムジャケットをバッと脱いで、勝負服になるというもの格好良いですよね」

――最後に今後の日本のフットボール界をけん引していくこととなる中高生へメッセージをお願いします。
「日本のフットボール界の中心にいるのは間違いなく選手であり、さらにその中でも今後、サッカー日本代表を目指してほしいという意味では中高生、部活動に励んでいるプレーヤーが非常にキーになってくると思います。日本のフットボールが強くなるのも弱くなるのも、中高生のプレーヤー次第なのではないでしょうか。その中でスポーツブランドである我々にできることは、彼らの求めているニーズをしっかりと汲み取り、それに合った商品やサービスを提供していくことです。プレーヤーの皆さんには限られた学生時代の時間の中で、一日一日を無駄にしてほしくないし、日々の練習や試合に真摯に取り組み、なおかつ楽しんでプレーしてほしい。そういう選手たちの声を、我々はもっともっと聞いていきたいです。より中高生プレーヤーのニーズを汲み取り、提案していくことこそが新しいトレンドになり、フットボールを次の進化に導けると信じています」

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