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[もうひとつの高校選手権・開幕直前]出場校紹介:長崎県立希望が丘高等特別支援学校

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提供:長崎県立希望が丘高等特別支援学校

2年越しのリベンジを目指して

 第4回全国知的障害特別支援学校高等部サッカー選手権「もうひとつの高校選手権」が16日に静岡県藤枝総合運動公園サッカー場で開幕する。代表10校を紹介する連載の6回目は、2016年度の準優勝校である長崎県立希望が丘高等特別支援学校。

 全国大会で悔し涙を飲んだ相手と初戦で激突する。2大会前の準優勝校、長崎県立希望が丘高等特別支援学校は決勝で1-3で敗れた東京都立永福学園といきなり対戦する。村上傑監督は、様々な偶然が重なった“リベンジマッチ”に喜びと戸惑いを交錯させた。

「私は赴任1年目で前回全国大会に行ったときのチームに帯同していないので、特に永福さんを意識していたわけではないんですが、今年のチームを立ち上げたときに『全国大会のリベンジをする』とテーマを掲げてやってきました。全国大会に出られることが決まって、その相手が永福さんですから……。縁もあったんでしょうね」

 当時の悔しさを知る3年生部員が3人残っている。主将のDF福井雄澄は折に触れて村上監督に「選手だけでミーティング、いいですか?」と相談に来て、当時負けた悔しさや、全国大会のレベルの高さ、厳しさを1,2年生に伝えているのだという。

「2年前、自分の目の前で失点したことが、すごい悔しかったそうです。そのときのリベンジをしたい。そのために何が必要か。『学校生活もしっかりしよう』ということも言ってくれていて、チームのためによく動いてくれます」(村上監督)

 しかし、練習環境には制限がある。部活動は17:00までと定められているため、放課後は正味1時間ほど。専用のグラウンドはなく、陸上部と30分交代でグラウンドを使用する。駐車場付近の芝生でパス&コントロールといった基礎的なトレーニングを徹底的に積み、グラウンドを使える時間帯にシュートまでの流れを確認してきた。したがって
戦い方も、ピッチ上でも最後尾からしっかりしたコーチングで指示を出す福井主将が長いボールを蹴り、攻撃時に鋭い動きを見せる右サイドの背番号10の二瀬真次(3年)や山﨑風輝(1年)にどう効果的なボールを配給できるか。戦い方がシンプルな分、徹底できる強さがある。

「優勝はあまり意識していなくて、まずは『全国1勝』です。勝てれば次を目指す、といったスタンスです。1勝できれば『自分たちもできるんだ』と自信にもなるんじゃないですかね」(村上監督)

 1回戦で2年分の悔しさを晴らし、上位進出という「希望の丘」にのぼっていきたいと願っている。

(取材・文 林健太郎)

■学校紹介
1991年に開校。サッカー部は2003年に同好会として発足以来、今年度で16年目。
 校訓は「忍耐 錬達 希望」。1年生で「忍耐」を覚え、2年生の「錬達」は、熟練して深く通じていくために鍛錬し、3年生で「希望」を持って羽ばたくことを願っている。
卒業後の企業就労に備えて現場実習をどの学校も導入しているが、希望が丘高では「デュアルシステム型現場実習」というスタイルを導入。学校での職業教育と事業所での就労体験を並行して実施することが、職業的自立を促す上で効果が高いという考え方に基づき、「1~2週間に1日程度の実習を、年間通して行う実習」のこと。生徒が実習で得られた課題や仕事に必要な基礎知識及び基本作業を学校の授業にフィードバックして改善を図ることで、切れ目のない成長が期待できる。
 水曜日を除いた週5日間、全学年で体力トレーニングを実施。10分間走やサーキットトレーニング、ラダートレーニング、ダンスなどを行う。

■校長
川副秀夫

■サッカー部監督、スタッフ
監督 村上傑
コーチ 松尾達朗、池下忠義、吉田さやか、寺井祥一

■主将
福井雄澄(3年)

■予選成績
(長崎県大会)
1回戦 〇7-0佐世保特別支援学校
決勝戦 〇5-1島原特別支援学校
(九州大会)
リーグ戦〇5-1鹿屋養護学校
    ●0-8福岡高等学園
    ※準優勝

■過去の全国大会成績
第2回(2016年度)準優勝

■出場選手登録一覧
Pos 名 前 学年
GK1内田勝大(3年)
GK/DF14森龍翔(1年)
DF2道辻祐輔(2年)
DF7福井雄澄(3年)★
MF3中村佳吾(2年)
FW5松本慶(1年)
FW6樋口廉(2年)
MF8成富広生(2年)
MF10二瀬真次(3年)
MF11山﨑風輝(1年)
MF12森永弥桜(1年)
【注】番号は背番号、★は主将

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