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クリアソン新宿が地域CL初出場初制覇!! 元Jリーガー大谷&瀬川で逆転2発、JFL入替戦への挑戦権獲得

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DF瀬川和樹が決勝ゴール

[11.28 地域CL決勝ラウンド FC徳島 1-2 Criacao Shinjuku 味フィ西]

 全国地域チャンピオンズリーグ(地域CL)は28日、決勝ラウンド最終日を行い、第1試合はCriacao ShinjukuFC徳島に2-1で勝利した。第2試合の結果を受けて決勝ラウンド優勝が決まったCriacao ShinjukuはJFL入れ替え戦への出場権を獲得。入れ替え戦ではJFL最下位のFC刈谷と対戦し、勝てば来季JFLに参入する。

 激戦の関東1部リーグを11連勝フィニッシュで逆転優勝し、地域CL初出場を果たしたCriacao Shinjuku。各地域のトップが集まる舞台でもリーグ戦の勢いそのままに快進撃を続け、予選ラウンドを2勝1敗で突破すると、決勝ラウンドもおこしやす京都AC、FC.ISE-SHIMAを相手に1勝1分で勝ち進み、首位タイで最終節に臨んだ。

 対戦相手は今大会開幕2連敗で、すでに2位以内の可能性が消滅したFC徳島。3-1-4-2のシステムで守備ブロックを敷いてきた相手に対し、Criacaoは序盤からサイドを中心とした攻撃で押し込み続けた。それでも前半14分、MF樋口裕平のシュートがGK荻野賢次郎に阻まれると、5分後に最初のピンチから試合を動かされた。

 前半19分、FC徳島はMF松本圭介の浮き球パスが相手に当たってこぼれ、FW下田康太が柔らかいポストプレーでボールを収めると、左ハーフスペースに展開。これを受けた左ウイングバックのDF秋月駿作は外に行くと見せかけてカットインし、力強く右足を振り抜いた。風に乗ったボールはGK岩舘直の手をすり抜けゴールマウスへ。ミドルレンジからのスーパーゴールが決まり、チームにとっての大会初ゴールが貴重な先制点となった。

 対するCriacaoの選手たちは失点直後、「ここから走るよ!」という声で互いを鼓舞。その言葉どおり、さらに勢いを強めたチームは前半34分、決勝ラウンド初先発のFW岡本達也がミドルシュートを狙うと、36分にも岡本がループシュートを放ち、荻野のスーパーセーブに阻まれはしたものの、決定的な形をつくった。

 Criacaoはその後、左ウイングバックのDF瀬川和樹とMF高橋滉也が左右を入れ替え、マッチアップの相手を撹乱。さらにハーフタイムには推進力のあるMF池谷友喜に代わって技術の高いMF森村昂太を投入し、ますます前傾姿勢を強めた。

 すると後半3分、Criacaoは自陣の低い位置でボールを持ったDF井筒陸也が縦へのロングボールを送り、FW大谷真史を裏に走らせると、風の影響もあってかFC徳島ディフェンスはクリアできず。流れたボールを拾った大谷が力強く右足を振り抜き、同点ゴールが入った。26日のFC.ISE-SHIMA戦(△0-0)では自身の決定機逸を悔やんでいたストライカーがついに決勝ラウンド初ゴールを挙げた。

 決めた大谷はこれまでの鬱憤を爆発させるようなガッツポーズを見せ、ベンチメンバーのもとへ。大勢のサポーターが集まったスタンドに向けても派手に喜びを表現した。

 こうなると試合は完全にCriacaoのムード。後半4分過ぎ、DF米原祐の連続ヘッドはGK荻野に阻まれ、同12分には岡本のシュートがクロスバーに弾かれたが、迎えた同21分、井筒とMF須藤岳晟とつないで左サイドに展開すると、これを受けた森村がノールック気味のクロスを配給。ファーポスト脇に飛び込んだ瀬川が押し込み、ついに逆転に成功した。

 その後はFC徳島がDF福島凌、MF須ノ又諭を入れて前がかりになり、再逆転を狙ったが、Criacaoはリベロ起用のDF小林祐三を中心とした最終ラインが距離感を保ち、危険な場面をつくらせない。そのまま試合はタイムアップ。Criacaoが今大会の勝ち点を7とし、2試合目を待たずにJFL入れ替え戦出場権が与えられる2位以内を確定させた。

 また2試合目では同じく1勝1分で並んでいたFC.ISE-SHIMAがおこしやす京都ACと0-0で引き分け、2位が確定。Criacaoは初出場にして初優勝を果たした。

 それでも試合後、成山一郎監督はすでに気を引き締め直していた。

「まだ自分たちの至らないところを見つけられた大会だった」。

 12月中旬に予定されている入れ替え戦は引き分けの場合、JFLチームが勝ち上がるというレギュレーション。「入れ替え戦に出ることは決まったけど、引き分けだとJFLチームが残留で私たちは上がれない。1試合目からシュートの形は作れているとは感じていたけど、得点力とかそういうところに反映しきれていないのが課題」。3試合合計3得点に終わった攻撃力に課題を感じたという。

 しかしながら、5日間で3試合という厳しい日程の中、どの試合でも優位に試合を運んでいた強さはさすがというほかない。またなにより、東京開催ということもあって大勢のサポーターが集まった中、活力に溢れたプレーを繰り広げながら勝利する姿を見せられたことは今後のクラブにとって大きな財産となりそうだ。

「コロナ禍でみなさんキツい中、Criacao Shinjukuのことを信じて期待して応援してくださった皆さんがこれだけいらっしゃって、力をもらいましたし、力をピッチで表現してみなさんにちょっとでもお届けすることができた。これからもお互いに与え合いながら進んでいきたい」。

 集まったサポーターにそうメッセージを送った成山監督は取材対応の最後に「世界一」への野望を語った。

「このクラブは世界一を目指していて、競技の成績じゃないところでもいろんなことで目指しているが、純粋に競技の結果から目を逸らさず、JFLやJリーグに上がっていきたいと思っている。そうやってカテゴリを上がっていって2026年に世界一と決めているので、一つ一つ近づくのはすごく大切なことなんじゃないかと思っている」。

 そのためにはまず、初の全国カテゴリとなるJFLへ——。Criacao Shinjukuはこの厳しい大会で感じた課題も糧に、高い基準をもって準備を進めていく。

(取材・文 竹内達也)

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