beacon

主審の“Xポーズ”が発動合図!! 「キャプテンのみ主審に接近可能」など下部カテゴリ新トライアルルールの詳細判明

このエントリーをはてなブックマークに追加

新トライアルルールの詳細が判明

 国際サッカー評議会(IFAB)は今月2日の年次総会(AGM)で承認したトライアルルールについて、公式サイトでその詳細を発表した。原則7月からクラブチームが出場する大会は2部リーグ以上のチームが関与しない試合、代表チームが出場する大会はA代表が関与しない試合で「キャプテンのみ主審に接近可能」「クーリングオフ・ピリオド」「GKの長時間ボール保持」というルールを試行できる。

▽キャプテンのみ主審に接近可能

 競技規則では審判員の判定を尊重することが義務づけられているが、審判員を囲んで抗議する場面が珍しくないことからこのルールのトライアルが始まる。主審は一旦選手から離れて両腕を頭上で“X”の形でクロスさせ、続けて手のひらを正面に向けながら前ならえのポーズをすることで「キャプテンのみ」ルールを発動。この合図が出ると主審から半径4mは “キャプテンのみゾーン”となり、両チームキャプテン以外の選手が侵入することは認められない。

 キャプテンのみゾーンが発生すると、キャプテンはそのエリアに入らないようチームメイトに促す責任を負う。それでも他の選手が1人入った場合はその選手がイエローカードの対象となり、2人以上の選手が侵入した場合は最も高圧的か最初に入った選手を基本として最低でも1人はイエローカードを受けることになる。また、キャプテン自身もエリア内で不適切な言動を主審に示した場合は通常通りカードの対象となる。

 主審はこのルールを発動後、キャプテンに判定の理由やチームメイトに伝えてほしいことなどを伝え、試合を再開させる。IFABは複数の選手がキャプテンのみゾーンに侵入した場合、大会側がチームや選手に処分を下すよう強く求めている。

▽クーリングオフ・ピリオド

 これは“乱闘”などと表現される集団的対立で両チームの選手が入り乱れる状態になった場合、強制的に両チームを引き離して冷静になる時間を作るもの。主審がクーリングオフ・ピリオドが必要だと判断すると、両腕を頭上で“X”の形でクロスさせてから身体全体で“T”と示すように両腕をそれぞれ横にまっすぐ伸ばす。これが合図となり、両チームの選手は自陣のペナルティーエリア内か主審が指定したエリア内に移動するよう求められる。選手は指定されたエリアから飛び出すと、イエローカードを受けることもある。

 クーリングオフ・ピリオドの間、審判員はセンターサークル内で待機する。その後両チームのキャプテンと監督、必要だと判断された人物(警備員などの試合関係者を含む)を呼んで試合を中断させた理由を説明。説明後、キャプテンはPA内、監督はテクニカルエリア内に戻る。他のチームスタッフと控え選手はテクニカルエリアから出られないが、負傷者の治療や選手に飲み物を届けることを理由として1人のみ外に出られるという。

 クーリングオフ・ピリオドの長さは主審の判断によるが、気温が低い試合は高い場合よりも短くするといった配慮がされる模様。試合が再開可能だと判断された場合、キャプテンは改めてセンターサークルに向かって主審から説明を聞く。必要性がある場合は短時間のウォーミングアップ時間が設定され、その後再開するようだ。

 1試合で行えるクーリングオフ・ピリオドは2回までで、その後も問題が続く場合は試合が中止になる可能性もある。また、主審はクーリングオフ・ピリオドを2回行わずとも試合を打ち切ることができる。

 なお、チーム間の対立ではなく観客の乱入や雷雨などで選手の安全性が損なわれる可能性がある場合、主審はXポーズで中断を伝える。選手はロッカールームなどの安全な場へ避難する。

▽GKの長時間ボール保持

 ゲキサカで過去に伝えたように、GKがボールを手や腕で保持できる時間の“6秒ルール”を8秒に伸ばして厳格化するというもの。現在のルールではゴール前での間接FKとなるため主審が反則を取りづらいといった側面があり、7秒以上ボールを保持しても反則になることはほとんどない。そのためトライアルルールでは違反した場合、GKがいた地点に近いサイドからのCKかペナルティーマークの延長線上からのスローインとなる。どちらの再開方法にするかは試合前に主催側が選択する。

 IFABによると分析の結果、GKがすばやくボールを離したい場合は6秒以内に手放し、攻撃を始めたいがチームメイトの準備が間に合っていないことなどですぐに手放せない場合は6秒から8秒の間ボールを保持しているという。その一方、時間を稼ぐ意思がある場合は20秒以上ボールを保持する場合があることもわかった。以上のデータから、試行するルールでは時間設定が8秒になった。

 主審はGKが明らかにボールを手でコントロールした時点から8秒のカウントを始める。残り5秒から0秒までは片手を挙げて指でカウントダウンを行い、選手らに残り時間が分かるようにする。GKが違反した場合、1回目は注意をして相手チームのボールで再開となるが、2回目以降はイエローカードの対象に。3回の違反で退場処分となる。

 IFABはこれらのトライアルルールを適用する大会を募集している。希望する主催者はIFABに連絡をして許可を得てから採用となる。なお、今回のAGMでは昨年のFIFA主催大会で試行されたVAR介入後の判定アナウンスについて、全世界の大会で試行可能とすることも決まっている。
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

TOP