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[高校総体]流経大柏が逆転で2年連続4強(流通経済大柏vs大分鶴崎)

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[8.02 全国高校総体サッカー競技準々決勝 流通経済大柏 2-1 大分鶴崎 埼玉スタジアム第2G]

 流通経済大柏(千葉1)が2年連続の4強進出を決めた。同じく2年連続の8強進出となった大分鶴崎(大分)との準々決勝で、流経大柏はFW久場光(3年)の決勝ゴールで2-1で勝利。昨年度の全日本ユース(U-18)選手権、全国高校選手権に続く日本一へまた一歩前進した流経大柏は、準決勝(3日、駒場)で佐賀東(佐賀)と対戦する。
 3回戦で桐光学園(神奈川1)との関東勢対決を4-1で制し、8強へ駒を進めてきた流経大柏は4-4-2の布陣。J注目のアタッカー・田口泰士はMF野村良平(3年)とボランチでコンビを組んで先発した。一方の大分鶴崎は昨年の全国総体で活躍したMF河野諒(3年)やDF阿南築主将(3年)ら先発11人中6人が昨年の全国8強時の先発メンバー。前半4分、そのメンバーのひとりであるMF伊賀上竜希(2年)がいきなり流経大柏のゴールを破る。
 大分鶴崎は左FKを受けたMF島崎皓平(2年)が右サイドからドリブルで仕掛け、ラストパス。これに走りこんだ伊賀上が右足で決め、先制した。サイドからの鮮やかな速攻で先制した大分鶴崎は直後の8分にもDF三村祐樹(3年)の右FKでファーサイドから河野が抜け出す。GKとの1対1は流経大柏GK谷口健太(3年)に防がれたが、17分にも右MF伊賀上の突破からチャンスを作るなど、サイドでの局面をスピードと技術で打開し、決定機に結びつけた。
 先に得点を奪われた流経大柏だったが、前線からの厳しいディフェンスですぐにペースを取り戻す。テンポのいいボールさばきを見せる田口、前線で精力的に動きまわるドリブラー・久場らがチャンスメイク。20分頃からは大分鶴崎を相手陣内へ押し込み、まったくビルドアップできない状況にまで追い込んだ。そして26分、流経大柏はDF福田光(3年)の右CKをニアサイドのMF野村良平(3年)が右足で合わせ、同点。必死に守る大分鶴崎守備陣の砦をセットプレーからこじ開けた。
 完全に主導権を握った流経大柏は一気に試合をひっくり返しに行く。29分には左サイドから切れ込んだMF河本明人(3年)の右足シュートがゴールを襲い、31分には左サイドを破った河本のラストパスを決定的な形で久場が合わせる。そして後半開始から中森雄太(3年)とMF古川大士(3年)の2人のMFを投入してさらにペースアップ。守備面でも中央から前線に入ってくるボールを厳しくチェックしボール奪取を重ねた。
 ただ、なかなか勝ち越し点を奪うことができない。13分には田口のヒールパスに反応した河本が決定的なシュートを放つが、ボールは枠の外。直後には右サイドをえぐった中森の折り返しを受けた田口が右足を振り抜くが、体を投げ出してブロックした相手DFにはじき出された。15分にも右サイドから切れ込んだ久場がシュートを放つがこれも枠の外に外れ、重苦しい空気が漂い出す。
 逆に大分鶴崎は21分、左サイドを駆け上がった左SB渡邉徹典(3年)のクロスから河野が左足でゴールを脅かした。守勢に回っていた大分鶴崎だったが、ゴールまでボールを運ぶだけの技術は十分。守備で粘ってからのカウンター攻撃で勝機を見いだそうとした。ただ、流経大柏は「個」の力で試合に決着をつける。28分、野村のパスを受けた久場がそのままスピードに乗ったドリブルで相手DFをかわし右足シュート。これがゴールネットを揺らし、決勝点となった。「何回もチャンスがあったので1本決めなければ納得できなかった。相手DFは疲れていたし、抜ける自信はあった。仕掛けたらGKと1対1になった」と久場。昨年度の全国高校選手権でも大活躍したストライカーが試合を決めた。
 中盤、前線が抜群の運動量で相手にプレッシャーをかけ試合を優位立たせた流経大柏の本田裕一郎監督は「(序盤運動量が少なかったので)止まっていても何も起きないぞと言っていた。神経質になりすぎていた面もあるかもしれない。出来としては7割くらい」。主審の不安定なジャッジに試合中は声を荒げていた指揮官だったが、試合後は逆転勝利を淡々と振り返っていた。

<写真>2年連続準決勝進出を決めた流通経済大柏イレブン
(取材・文 吉田太郎)

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