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信念揺るがず、神大初勝利(明治大vs神奈川大)

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[5.4 関東大学サッカー1部第5節 明治大 0-1 神奈川大 多摩]

 JR東日本カップ2009 第83回関東大学サッカー1部は4日、第5節残り4試合を行った。多摩市立陸上競技場(東京)の第1試合では4位・明治大と今季未勝利の11位・神奈川大と対戦。後半ロスタイムにMF郷内勇太(4年=横浜FMユース)が決めた決勝点により、神奈川大が1-0で勝った。

 未勝利が続く苦しい日々にも神奈川大は揺るがなかった。「日本一になるためのプラン通りです。最初の4試合くらいは、メンバーを固定するよりも全員を出して経験につなげるという狙いだった。3連敗しても後で勝てば問題ない。結果が出なければ責任はボクと監督でとる気持ちで信じてやってきました」とMF吉田一樹主将(4年=鹿島ユース)。勝ち星こそなかったが、筑波大にはシュート21本を浴びせ、全勝の流通経済大戦も内容では決して引けをとっていなかった。結果が出なくても選手たちの気持ちは折れなかった。
 この日の明大戦も個々のタレントで上回る相手に押し込まれながらも得点を与えない。そして後半ロスタイム、クロスのこぼれ球に反応した吉田主将が体を投げ出してラストパス。右サイドから飛び込んできた郷内が相手DF競りながら決勝ゴールをねじ込んだ。
 成長を見せるCB佐藤貴則(3年=藤沢西高)らが粘り強く守り、FW鈴木将也(3年=逗葉高)も前線で奮闘。相手に得点を与えずに後半を迎えると、残り20分を切ってから開幕戦以来のベンチ入りとなったエース・三平和司(4年=秦野)をピッチへ送り出して試合の流れを自らに傾けた。エース不在の中でも、出番を勝ち取った選手たち中心に一戦一戦内容を高めてきていた。それが結果にも結びついた。
 05年に初めて関東2部リーグへ昇格し、07年に同優勝で初めての関東1部へ。そして2年連続で総理大臣杯全日本大学トーナメント出場も果たした。近年急激に成長を遂げているチームは今年「全国で勝つ」。神大・大森酉三郎監督は「昨年は噛み付くくらいの守備をするだけだった。でも今年は攻撃を増やそうと。つなぐ部分は増えているし、SBの上がりも増えた。日本一を取るチームになるために選手は覚悟を決めてやっている。だからボクも練習でいい選手は使う。ボクも勇気出して選手を起用していく」と語った。日本一という目標のために信念を持って成長を狙う神大。初勝利で自信を深めた選手たちはよりひとつの方向を向いて戦っていきそうだ。

 一方、流れをつかんでいた前半に得点できなかった明大は後半、右SB田中政勝主将(4年=国見高)の右クロスを途中出場のFW日野竜一(3年=国見高)が合わせるなど決定機をつくった。GK高木駿(2年=東京Vユース)の好守も光っていたが、後半ファーストシュート(公式記録による)で決勝点を奪われて敗戦。2年ぶりVを狙うチームと首位・流通経済大との勝ち点差は6へ開いた。

<写真>郷内(8番)の決勝ゴールに沸く神奈川大イレブン
(取材・文 吉田太郎)

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