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[全日本ユース(U-18)選手権]「前へ」の横浜FMが浦和の連覇の夢砕く(浦和ユースvs横浜FMユース)

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[10.3 全日本ユース(U-18)選手権準々決勝 浦和ユース 0-2 横浜FMユース ひたちなか]

 高円宮杯第20回全日本ユース(U-18)選手権は3日、茨城県のひたちなか市総合運動公園陸上競技場で準々決勝2試合を行い、第2試合では前回大会優勝の浦和レッズユース(関東7)と横浜F・マリノスユース(関東3)が対戦。横浜FMユースがDF保田隆介とMF高橋健哉のゴールにより2-0で勝ち、2000年以来9年ぶりのベスト4へ進出した。横浜FMは10日の準決勝で三菱養和SCユース(関東2)と戦う。

 横浜FMが「前へ」の積極サッカーで、浦和の連覇の夢を砕いた。シュート数は浦和の6本に対して横浜FMは19本。浦和のU-18日本代表GK中村隼の度重なるビッグセーブがなければ、得点差はまだついていたかもしれない。浦和・堀孝史監督も「完敗」と認める内容で横浜FMが攻め勝った。

 圧巻のボールコントロールを見せていたU-17日本代表MF小野裕二とその兄で司令塔のMF小野悠斗、プリンスリーグ関東得点王のFW関原凌河といった攻撃タレントだけでない、どこからでも決定機を作り出す怖さがこの日の横浜FMにはあった。局面でのダイレクトでの崩しにDFラインからの一発のパス。浦和は守備的に試合を進めていたが、それでも横浜FMは次々と相手DFラインの裏を取り、再三決定機をつくり出した。
 そして前半40分、高橋を起点に左サイドをえぐった小野悠のラストパスを、ファーサイドから飛び込んできた保田が右足ダイレクトでゴールへと突き刺して、先制点を奪う。

 「相手のSBが中盤の選手につられて中央へ入っていた。自分が前に行けばチャンスになると思っていた」と保田。自分に対する警戒が薄いと判断し、最終ラインから前線へ入りこんでいたSBの一撃は、チーム全体が統一して持っている「前へ」の姿勢が表れたゴールだった。DF中田航平主将は言う。「自分たちが重視しているのは『ファースト・ブレイク』。監督からも一発で蹴って、一発で点を取れるのが一番いいと言われている。とにかく前へ前への意識をもって、『いけるところまで前へ行こう』としている」。この「前へ」の意欲は守備にも好影響を与え、球際での厳しさでも相手を完全に上回っていた。

 後半も攻め続けた横浜FMだが、決定機でミスを連発。試合を決めることができず、劣勢だった浦和に反撃する勇気を与えてしまう。攻め疲れた横浜FMの足が止まった後半28分、浦和は交代出場のFW矢島慎也が右サイドを打開し決定的なラストパス。41分には左クロスからFW葺本啓太のヘディングシュートがゴールマウスを叩く。浦和は俄然勢いづいたが、横浜FMは直後の42分に高橋がDF2人をかわして鮮やかな左足シュートを叩き込み、試合に決着をつけた。

 横浜FMは今大会の決勝トーナメント1回戦ではプリンスリーグ関東で敗れている桐光学園高に雪辱勝利し、この日プリンスリーグ関東で引き分けていた浦和ユースも撃破した。そして準決勝の相手はプリンスリーグで2-5で敗れている三菱養和。横浜FMの松橋力蔵監督は「(これまでの2試合に続き)借りを返すという訳じゃないけど、1回やられている相手。自分たちが成長しているか試せる相手」と次戦で三度、春からの成長を示すことを誓い「4強にいった以上は決勝にいきたい気持ちがある。最後は頂点を目指したい」と力を込めた。

(取材・文 吉田太郎)
高校サッカー・全日本ユース2009

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