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[総体]神奈川2次予選初戦で波乱!前回日本一の三浦学苑が川崎市立橘に敗れる!

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[6.9 全国高校総体神奈川県予選2次予選1回戦 川崎市立橘0-0(PK6-5)三浦学苑 麻布大淵野辺G]

 平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技神奈川県予選は9日、2次予選がスタートしたが、その1回戦で波乱が起きた。昨年度の全国高校総体で初出場初優勝の快挙を成し遂げた三浦学苑が0-0でもつれ込んだPK戦の末、川崎市立橘に5-6で敗戦。前回大会の全国王者が県予選初戦で姿を消す事態となった。

 神奈川県大会8強が最高成績という市立橘が全国へ衝撃を与える勝利だ。PK戦はともに1人ずつが外して迎えた7人目に決着。先攻・市立橘のMF田中孝典(3年)がゴール右へ確実に決めるとその直後、三浦学苑7人目のシュートを「良い感じで相手を誘うことができた。ここだ、と思って跳んだ。たまたま止められました。本当にたまたまです」と笑顔で振り返る市立橘GK鈴木蓮弥(3年)が左へ跳んで完ぺきにストップする。「感情をモロに出してしまいました」と雄叫びを上げる守護神へ向けて一斉に走り出すグレーのユニフォーム。涙する選手もいた。その隣で三浦学苑イレブンは腰や膝に手を置き、呆然とした表情を見せる。その応援席からは「これでインハイ、終わり?」という落胆の声が発せられていた。

 三浦学苑は4、5月の関東大会予選でベスト16敗戦。昨年のチームとは代が違うこと、難しい試合になることを枝村隼人監督も口にしていた。気を引き締めて初戦に臨んでいたが、それでも市立橘の堅守を最後まで崩すことができなかった。序盤から得意のオープン攻撃を展開する三浦学苑は中盤で存在感を示していたMF葛西友啓とMF鈴木康司(ともに3年)が攻撃をリード。3トップの中央に位置するFW出口龍太郎(3年)がスペースでボールを引き出し、左サイドのドリブラー、FW松井慶彦(3年)らが中央へ飛び込んでくる。だが、市立橘は中盤と最終ラインがしっかりと相手選手を挟み込むなど、自由にボールを動かさせない。また足下の技術と判断力を備えた好DF本田虹樹主将と澤田朋村(ともに3年)のCBコンビを中心に相手の背後へのボールを確実にチェック。三浦学苑はワイドまでボールを運ぶものの、決定的な崩しをすることができなかった。

 市立橘は関東大会予選で三浦学苑に1-3で逆転負け。前半は1-0で折り返したものの、後半はロングボールを中心とした相手の背後への攻撃を阻止することができずに連続失点を食らったという。だが、この日は相手に良さを出させなかった。三浦学苑は前半23分に左中間でのインターセプトから出口のラストパスを右中間で受けたFW渡辺大輔(3年)が右足シュート。35分には右中間でインターセプトした葛西のスルーパスから出口が右足を振りぬく。チャンスもつくったが球際も厳しく、ボールを奪った後にはMF臼田和史(3年)や田中を起点にボールを動かし、スピードのあるMF鈴木悠馬やMF不破駿平(3年)中心に押し返してくる市立橘を攻め落とすことができなかった。

 三浦学苑は後半も15分に葛西のラストパスから出口が左足を振りぬき、また松井のシュートがゴールを襲う場面もあった。だが、警戒された背後への攻撃が行き詰まり、ロングボールでの揺さぶりも得点に結びつけることができない。逆に度々突破力を発揮していた市立橘の右SB中津川貴一(3年)や本田に守備網へ穴を開けられた。その中で三浦学苑は昨年の優勝メンバーであるGK角井栄太郎(2年)が非常に安定したプレーを見せていたほか、坂田達哉(3年)と川島岳(2年)中心の最終ラインはほとんど危険な場面を作られなかったが、それでも延長戦を含む100分間で得点することができず。PK戦に泣いた。

 金星を挙げた市立橘の藤澤紘平監督は「選手たちには『良くやったよ』と。相手が全国王者とは全然考えていませんでした。関東の借りを返そうということだけでした。内容が完ぺきかと言われると全然ですけれど、暑さや相手のプレッシャーが速くて体力が消耗する中、選手たちがしぶとくやってくれた」。市立橘は過去の高校選手権予選では2年連続PK戦で敗退。指揮官も口にしていたが、強豪相手に健闘するものの、白星を掴むことができていなかったチームにとっては大きな自信となる1勝だ。ただ本田は「単純に嬉しい。かなり自信になります。でもこの先は(昨年の選手権予選で敗れている)川和との試合がありますし、ここが一番じゃない」。2回戦の対戦相手は関東大会で優勝した川和。強豪との戦いが続く。それだけに、神奈川制覇の大目標を掲げている市立橘は前回大会日本一撃破の余韻に浸ることなく、1週間トレーニングを重ねて、再び強敵から白星をもぎ取る。

(取材・文 吉田太郎)
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