beacon

[総体]「選手権に向けてスタート」滋賀3位で近畿大会出場の野洲、奈良王者・奈良育英をPK戦で破る

このエントリーをはてなブックマークに追加

[6.20 近畿高校選手権大会1回戦 奈良育英高 1-1(PK4-5)野洲高 ビッグレイク]

第68回近畿高校サッカー選手権大会が20日に開幕し、近畿地区の高校総体予選で上位となった16チームが参加。滋賀県の第3代表の野洲高が1回戦で、奈良県予選を制した奈良育英高にPK戦で勝利し、21日に行われる2回戦進出を決めた。

 今月上旬に行われた平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技の滋賀予選では準決勝で守山高に0-1で敗れ、全国行きの切符を掴めなかった野洲。今大会は滋賀県3位での出場だが、奈良王者を破って初戦を突破した。

 先に仕掛けたのは奈良育英。「出だしは、『あれ?何で行けたんやろ?』と選手たちは思ったと思う」と上間政彦監督が振り返ったように、野洲のエンジンがかかる前にFW片山太征加賀友基らがパワーで押し込み、ゴール前に進出したが、シュートまで持ち込めず、「立ち上がりに決めていれば、流れは違った」(上間監督)。時間の経過と共に試合の流れは野洲に傾き、前半9分に右サイドからDFを3人かわして、中に切れ込んだFW村上魁がPAにスルーパス。フリーで抜け出したMF高取誠隆が冷静に流し込んだ。

 先制してからは野洲が、テンポの良いボール回しとドリブルを交えて攻撃で奈良育英を圧倒。18分には左を仕掛けた高取のパスからFW山元壮太郎が、25分には村上のスルーパスに高取がスライディングで反応したが、ゴールネットを揺らすことができない。一方の奈良育英も35分にGK粟田海音のキックを前線でMF井門林勇が受けると、素早くPAに浮き球を展開。走り込んだMF河田篤志がGKをかわしたものの、シュートを打ちきれず、前半を終えた。

 後半に入ってからも試合の主導権は野洲。8分に中央でパスを受けたMF林雄飛がドリブルで密集をかわしてシュートを狙ったが、DFに当たってCKに。19分には林のスルーパスに左サイドを上がったDF近藤裕貴が反応し、ゴール前へラストパス。高取が飛び込んだが、わずかに合わない。以降も野洲は村上が強引にシュートまで持ち込むなど、あの手この手で奈良育英のゴールに迫ったが追加点が奪えずにいると、24分には相手陣内でのミスからピンチを招くことに。奈良育英は井門がセカンドボールを右のスペースに蹴り込むと、途中出場のFW細川義人が反応。ゴール前に入れたパスがオウンゴールを生み、試合は振り出しとなった。その後も両者、チャンスを作ったが、物にできずPK戦に突入。そのPK戦では野洲が全員成功したのに対し、奈良育英は2番目のキッカーが失敗し、5-4で接戦を物にした野洲が2回戦に進出した。

 総体予選で守山に負けた際は、負けたことよりも見ていても楽しいプレーが見られなかったことを山本佳司監督は嘆いていたが、この日は代名詞である細かいパス回しに村上らのドリブルを交えた“野洲らしい”攻撃を披露。「インターハイまでは間延び覚悟で、個のプレーをしていたけど、今は選手の距離をコンパクトにして、グループやチームでのプレーに変えている。インターハイを落としたから、選手権に向けてスタートした感じやね。第一歩がこの大会やけど、やろうとしている方向性は一致してきていると思う」と話したように、冬のリベンジに向けて、上々のリスタートに成功したと言える。また、「滋賀で大会をやらせてもらっているから、代表として負けられない気持ちもあったと思う」と続けたように、草津東と守山が初戦で敗れる中、地元の意地を見せた格好となった。

 一方の奈良育英は、春休み以降は県1部リーグと総体予選と奈良県内での対戦が続いたため、「これだけ動けるチームとやるのは久しぶり。ここ2か月の試合とはボールと人の動くスピードが違って、動けなかった」(上間監督)。それでも、指揮官がサッカーの原点と評する球際の激しさを見せて、2点目を与えず。上間監督が「昨年、一昨年までなら2、3点奪われて負けていた試合。追いついて、何とかなるんちゃうかという展開まで持ち込めるのは大きい」と話したように、敗れはしたものの手応えを得るには十分な試合内容だった。

 選手権への第一歩を踏み出した野洲と、久々の県外チームとの対戦を経てインターハイに備える奈良育英。それぞれの立場は違うが、ともに収穫を得た一戦だったと言える。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2015

TOP