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[総体]苦戦も「かなわない選手ではない」、関東一CB中村が注目FW一美相手に奮闘

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[8.5 全国高校総体3回戦 関東一高 4-1 大津高 いぶきの森]

「ベスト8に入るのが目標ではないので。やるからには上を目指しているので。でも一つ一つですね」。関東一高のCB中村翼は優勝候補の大津高を撃破した試合後、興奮を抑えながら次の試合へ意識を傾けていた。

 この日は初戦で3得点を記録している今大会屈指のストライカー、U-18日本代表FW一美和成とマッチアップ。「相手の攻撃はそこから始まると思った。(気持ちが入りすぎて)自分が釣り出されたりしたし、個人的にはまだまだ甘いところがあった。(一美は)動き出しとか一流の選手だと思った」と抜群のフィジカル能力と足下の技術で相手の守りを押し下げる一美に苦しめられ、振り切られたシーンもあった。

 だが、一美が背後へ抜け出してくることが少ない分、DFラインを高く保ち、また素早いチェックで危険人物にボールが入らないように努めていた。苦戦したことは間違いないが、「でもかなわない選手だとは思わなかった」。初戦からファウル覚悟の厳しいディフェンスを繰り返して強豪のFWと渡り合ってきた中村は大一番で相手エースに得点を許さず、勝利に貢献した。

 副主将を務める中村は今年のチームの強さを「全員が献身的」と分析する。ノリもいいが、ピッチに入ると、それぞれが走って、身体を張って戦うことができるチーム。例年に比べると技術レベルが劣ると言われているが、この日のように全国上位の相手に自分たちがトレーニングしてきた崩しの形を表現する力はある。試合直後に水に浸かって身体を冷やすなど、頭と体を上手くコントロールしながら戦うチームは「チーム一丸で勝ちたいとやった」試合を最高の形で終えることができた。

 自分たちは挑戦者。だが、自分たちを過小評価しているつもりもない。「自分たちは下に見過ぎず、上にも見ることはない。一個一個勝つためにやっている」という中村は準々決勝へ向けて「1日休みがあるので、しっかり最高の準備をしていく」。6日の準々決勝、全国制覇の経験を持つ広島皆実高にも挑戦して自分たちの力を最大限出して、勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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