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[総体]衝撃の「7-0」!長崎総科大附が選手権先発6人残す長崎南山との注目対決を完勝:長崎

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[6.9 総体長崎県予選準決勝 長崎総合科学大附高 7-0 長崎南山高 長崎県立百花台公園サッカー場]

 平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)長崎県予選準決勝が9日に行われ、4年ぶりの全国総体出場を狙う長崎総合科学大附高が昨年度夏冬全国大会に出場している長崎南山高に7-0で大勝。長崎総科大附は10日の決勝で島原商高と戦う。

 新人戦優勝校でU-17日本代表FW安藤瑞季(2年)や10番MF薬真寺孝弥主将(3年)ら実力者揃う長崎総科大附と大型CB太田晃輔主将(3年)をはじめ、昨年度選手権の先発6人を残す長崎南山との注目対決は衝撃的なスコアで長崎総科大附が勝利した。序盤から得点を重ね、気落ちした相手にほぼ何もさせずに完勝。この日2ゴールの薬真寺は「相手チームに何もさせないことは大事だと思う。相手に何もさせないくらいやることができれば自分たちは負けないと思うので、決勝でも相手にサッカーさせずに、油断せずに優勝したいと思います」と語り、同じく抜群のスピードやスキルを発揮して2ゴールを挙げた右MF右田翔(3年)は「普段から球際とか厳しく行こうとみんなで言っている。南山を上回って良かったですね。(個人的には)決勝でも相手のSBを上回って、取りに行きたいと思います。そして全国でも『総附の右サイドはヤバイ』と思われるようにしたい」と宣言した。

 前半、ファーストプレーで安藤が相手DFをなぎ倒すような突進からFKを獲得するなど攻め込んだ長崎総科大附は4分に早くも先制する。相手DFがお見合いしてこぼれたボールに反応した安藤がそのまま一気に右サイドを突破。この折り返しに走りこんだ薬真寺がコントロールから左足で先制点を叩き込んだ。攻守に置いて局面での激しさ、強さで圧倒する長崎総科大附は15分にも左CKを薬真寺が折り返したこぼれ球を右SB吉田隆之助(3年)が右足で撃ちぬいて2-0。さらに19分には右サイドからMF宇高魁人(3年)が仕掛けてクロスを入れる。これはGK飯田智樹(3年)が飛び込んでパンチしたが、クリアボールを安藤が1タッチでゴールへ沈めて3-0とした。 

 長崎南山は司令塔の10番MF大久保亘輝(3年)がDFを外してパスをさばき、俊足の左SB田川瑞己(3年)のクロスや右MF廣田大翔(3年)の突破などで反撃するが、相手の厳しい寄せによって攻撃の起点をつくることができない。前線へのボールをCB森田将生(3年)らが完璧に弾き返し、横パスを挟むことなくすぐさま攻め返す長崎総科大附は27分、右サイドに穴を開けた安藤の距離の長いクロスを右田が左足ダイレクトで合わせて4点目。さらに左SB前野翔伍(3年)の攻撃参加からMF山本大樹(3年)が決定的なシュートを放つなど攻め続け、34分には右田の右CKのこぼれ球を宇高が左足でゴールへ押し込んで5-0で前半を折り返した。

 長崎総科大附の攻勢は後半も衰えず。6分、前野が左サイド後方から入れたクロスボールを薬真寺が合わせて6点目。長崎南山は11分に相手のミスからFW西田晃典(2年)が抜け出したが、カバーしたCB田中純平(2年)に右足シュートをブロックされてしまう。DF陣やGK湊大昂(2年)、1ボランチのMF鈴木颯太(3年)らが相手にシュートシーンすら作らせない長崎総科大附は31分にも左サイドからカットインした右田が右足でニアサイドを射抜いてゴールラッシュを締めた。安藤は「点を取ったら取れるだけ取りたかった。それが7-0という結果になって嬉しいですね。あした決勝でまず勝って、その後に九州大会がある(準決勝勝利で九州大会への出場権獲得)。ヒガシ(東福岡高)に新人戦(準決勝で1-6敗戦)のリベンジ果たして、全国へ向けてしっかり準備して勝っていきたいです」と力を込めた。

 今年の長崎総科大附は新人戦九州大会で3位に入り、プリンスリーグ九州開幕戦はアビスパ福岡U-18に5-0で快勝。好スタートを切ったが、熊本地震の影響によってプリンスリーグが延期となり、2か月間公式戦を行うことができなかった。それでも小嶺忠敏監督はその期間をチームの成長に繋げた。初めて戦うプリンスリーグへ向けて主力メンバーをある程度固定してチームづくりしてきたが、その選手たちを新たなポジションで次々とテスト。リベロの位置に君臨していた薬真寺はこの準決勝でトップ下として出場し2ゴールを決め、これまでボランチで才能を発揮していた前野は左SBとして攻撃参加を繰り返した。

 国見に数々の全国タイトルをもたらし、日本代表選手たちを育ててきた名将・小嶺監督は「先のことを考えて色々やっているんです。練習試合で色々なことをやって、徳永悠平が生まれたし、(大久保)嘉人も色々やらせたし、三浦淳宏、兵藤(慎剛)も。チームが強い時には、どこで出ても遜色なくできる選手たちがいるんです」。右の高速アタッカーである右田はボランチとしてもハイレベル。また前線のポジションを複数こなす宇高ら、本格派ストライカーの安藤を除くとほぼ全ての選手が複数のポジションができるようになっているという。個々の選手が将来への可能性を広めたと同時に、指揮官は「色々やらせてみて適任があって幅が広がった」とチームが一段階レベルアップしたことを認める。右田も「選手交代のところでもカバーできたり、誰がどのポジションに入っても総附のサッカーができる」と手応えを口にし、薬真寺は「違う選手のいいところが見つかったし、プリンスリーグで出ていなかった選手が今出ている。全員がライバル心持ってやれば全員が上手くなると思う」。新人戦ではメンバーに絡んでいなかった選手たちの台頭もあり、より強力なチームとなっている長崎総科大附。これに「7月までは体づくりをさせている」(小嶺監督)という1年生が加わるとより強力なチームとなりそう。準決勝で圧巻の強さを示したV候補筆頭はまずは県決勝勝利に集中し、そして全国までにさらなるレベルアップを遂げる。

[写真]前半4分、長崎総科大附は薬真寺が左足で先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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