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インハイ連覇逃した山梨学院は県3位決定戦で4-0快勝、選手権で真の日本一になるため「原点からスタート」

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山梨学院高は4-0で快勝し、選手権へ向けて再スタートを切った

[6.16 インターハイ山梨県予選3位決定戦 山梨学院高 4-0 日大明誠高 中銀スタジアム]

 涙の敗退から再スタートを切った。16日、令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)山梨県予選3位決定戦が行われ、山梨学院高が4-0で日大明誠高に快勝した。

 昨年度のインターハイで初優勝した山梨学院は、前日の県予選準決勝で韮崎高に2-3で惜敗。0-2とされてから火がつき、追いついたが再び突き放されて競り負けた。今年は県新人戦、関東大会予選でいずれもタイトルを逃し、選手たちが挑戦者の姿勢を持っていたことは確か。だが、シュート数では17対5と圧倒しながらも、勝ち切ることができず。全国で唯一インターハイ連覇の可能性を持っていた山梨の強豪は、今年のインターハイ開催地・沖縄にたどり着くことができなかった。

 長谷川大監督は、青森山田高(青森)や流通経済大柏高(千葉)のように、勝ち続けているチームは「相手にやらせない」と分析する。相手に付け入る隙を与えず、例え健闘を許しても勝ち切る強さ。「ウチもそこを目指さないといけない。走る、戦う、粘る、決める……。真の日本一になるために原点からスタート」と語り、この3位決定戦で選手権へのスタートを切った。

 高い位置での奪い返しからMF山内隆矢(3年)のスルーパスやFW岡田遼平(3年)の力強い抜け出しなどでゴールに迫る山梨学院は17分、左サイドからドリブルで仕掛けたMF新崎竹翔(3年)がPKを獲得。このPKを自ら右足で決めて先制する。

 山梨学院は相手DFが飛び込んでくれば1タッチパスでいなして見せるなど、判断しながらボールを繋ぐ攻撃。一方、日大明誠はゲームメーカーのMF加藤友稀(3年)を中心にボールを動かし、MF五十嵐圭輝(2年)がセンスある動きも見せていたが、攻守の切り替え速い山梨学院は1本もシュートを打たせない。

 山梨学院は試合前にMF平松柚佑主将(3年)が「もう一度全員で選手権に向けてやろう」と再確認。昨年の全国大会優秀選手でもある平松は前夜、悔しくて眠れなかったという。それでも選手たちはこの3位決定戦をただの1試合ではなく、選手権で日本一を勝ち取るためのスタートの一戦と位置づけて臨んでいた。

 CB足立和誠(3年)らが奮闘していた日大明誠を相手に精度を欠くシーンもあったが、山梨学院は平松を中心に気持ちの入った攻守を見せる。30分には左中間の新崎が斜めのパスを入れると、山内が1タッチで落とし、走り込んだ平松が右足でゴール。2-0で前半を折り返した。

 後半5分には右SB鈴木剛(2年)のロングフィードで抜け出した岡田がGKをかわしながら左足で3点目のゴール。その後も交代出場のMF野田武瑠(2年)が存在感ある動きを見せるなど攻め続けた山梨学院は、39分にもDFライン背後へ抜け出した交代出場FW小林諒雅(3年)が自身のシュートのこぼれを決めて4-0で勝利した。

 今年から山梨学院の指揮を執る長谷川監督が「関係を作りながら攻められるようになっている」と語るように、チームとしての成長は見られている。練習試合で県外の強豪にも勝ち続けてきたというチームは、冬へ向けて楽しみなチームの一つだ。それでも指揮官は「(自分たちは)県で3番。3番らしいサッカーをしないといけない」。上手い、強いだけでなく、原点に立ち返って、泥臭く走って、戦って白星をもぎ取りに行く。

 平松は「自分たちが目標にしているのはもちろん選手権で、一昨年は出て1回戦負けで、昨年は出れずに終わってしまった。そこは昨日試合負けた後に(昨年の)3年生とかからLINEが来たり、言ってもらったのは『自分たちが出れなかった選手権で借りを返して来い』と。そういうところは、今いる3学年だけでなくて、関わってきた色々な人たちの気持ちを背負って選手権まで戦ってきたいなと思っています」。この日、強い思いを持って再スタートを切った山梨学院イレブン。より貪欲に勝ちを求める集団になって、必ず選手権で笑う。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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