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スーパーエース染野ベンチでも5発!尚志が四中工との注目の一戦で大勝!

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尚志が5発快勝スタート(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.26 総体1回戦 尚志5-0四中工 黄金森公園陸]

 令和元年度全国高校総体「感動は無限大 南部九州総体2019」(インターハイ)サッカー競技(沖縄)1回戦。黄金森公園陸上競技場での第1試合は、10年連続12度目の出場となる尚志高(福島)と、4年ぶり29度目の出場となる四日市中央工高(三重)という実力校同士が対戦。序盤に得点を奪いペースを握った尚志が5-0で快勝した。尚志は27日、南城市陸上競技場第1試合で東海大相模高(神奈川2)と2回戦を戦う。

 今年1月に行われた高校サッカー選手権でベスト4に勝ち進む活躍、そしてプレミアリーグ昇格と注目度の高い尚志。しかし、仲村浩二監督は「今年は今年のチーム」と選手たちに理解させるのに苦労したという。

「選手権でインパクトのある試合をし、プレミアリーグ参入戦もあり、周りの期待は高いのですが、今年のチームが勝ち取ったわけでもなく、評価を受けたわけでもない。なのに自分たちは上手いんだと思ってしまった部分がこのチームの最初の頃にあって、それを直すのが難しかったです」

 先の選手権準決勝の青森山田高戦でハットトリックを記録し、U-18日本代表でJ1鹿島アントラーズにも内定した世代超注目選手のFW染野唯月(3年)はベンチスタート。しかし、伝統校の四中工相手に、序盤から落ち着いた守備対応、丁寧なつなぎでゲームを作る。すると前半6分、GKと競り合ったFW阿部要門(2年)が再びこぼれ球をキープし、先制点となるシュートを決めた。

 この後、四中工が反撃に出る。主将でボランチのMF森夢真(3年)がパスを散らし、主に右サイドのMF和田彩起(3年)のクロスからゴールを窺う。前半のシュート数は尚志の3本に対し、四中工は5本。しかし、なかなかゴールが割れなかった。

「普段我々が戦っている県リーグであれば、今日の出来でも最後は決定力で勝ててしまう。でも相手はプレミアリーグ所属のチーム。前半、プレスをかけるところやボールを動かしながらうかがうところなど、ずっと言ってきたことはできましたが、相手の決定力が上でした」と四中工の伊室陽介監督は素直に認めた。

 四中工ペースで前半が終わろうとした前半アディショナルタイム5分、カウンターの形からボールをつながれ、最後は尚志のMF山内大空(3年)がシュートを決め、0-2で折り返すことに。

 尚志は後半も序盤の10分に山内が3点目を奪うと、雷で30分以上中断した直後の17分に阿部がこの日2点目となるゴールを奪取。効果的な時間帯に追加点を挙げ、25分にも途中出場のMF小池陸斗(3年)がダメ押しゴールを挙げた。

「クーリングブレイク、飲水タイムなどがあるインターハイは試合運びが難しい。雷で中断した時も再開は相手のCKからだったのですが、『トリックプレーがあるんじゃないか』など話し合って対応できました。あと、プレミアリーグのレベルがあまりにも高く、どちらかというと守備的なゲームからのスタートだったチームが、今日のような五分五分の試合でプレーを上手く切り替えられたのは良かったと思います。最高の形での初戦の入りになりました」(仲村監督)

 重度でないにせよ、膝に怪我を抱えている染野に対しては「無理をさせたくなかったので、できれば温存したかった」(仲村監督)。その希望も叶った。昨年度の勢いを追い風に、今年度の尚志も戦力が充実していることは間違いない。

 一方、名将・樋口士郎監督が勇退し、後を継いで1年目の四中工・伊室監督は「相手がどこであれ悔しい。伝統校なので、こんなところで負けていてはOBにも申し訳ない」と唇をかむ。

「樋口先生が残してくださった伝統を我々は絶対に落とさず、維持させながらプラスアルファを追い求めていくだけです。このような素晴らしい状態でバトンを渡してもらってありがたい。選手権までには絶対もっとパワーアップして戻ってきます」

 その言葉には強い決意が滲んでいた。すでに冬が楽しみだ。

(取材・文 伊藤亮)
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