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判断で勝負の高知、埼玉王者を4-0で破ってベスト16進出!

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後半アディショナルタイム、高知高CB林優太が頭で4点目のゴール

[7.27 総体2回戦 高知高 4-0 西武台高 金武町フ]

 高知が埼玉王者・西武台を破り、ベスト16進出――。夏の高校サッカー日本一を争う令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」男子サッカー競技(沖縄)は27日、2回戦を行った。シード校として2回戦から登場の西武台高(埼玉)と高知高(高知)との一戦は、4-0で高知が快勝。高知は28日の3回戦で初芝橋本高(和歌山)と戦う。

 判断の勝利だ。高知の高橋秀治監督は試合後、「明らかにウチの判断の方が高かった。高知県の選手でも、判断が埼玉のチームに負けることはないし、自信を子どもたちにも持ってもらいたい」と語った。スピード、パワーではJクラブアカデミー出身者もいる相手に劣るかもしれない。だが、状況を見ながら判断して戦った高知が、埼玉王者相手に堂々のサッカーを展開した。

 立ち上がりは、西武台が意識して相手ボールホルダーとの距離を詰めてそのパスワークの精度を乱そうとする。そして、MF今田剛(3年)やMF岩田璃玖(3年)が球際で粘り強くマイボールに繋げていた。そこからキープ力の高いMF池田上総介(3年)を起点とした攻撃や、右SB森下怜(3年)のアーリークロスでPAへ。県決勝3発のFW谷直哉(3年)が走り込んでゴールを狙った。

 だが、高知はDFライン背後への攻撃に対応する。そして、奪ったボールを丁寧かつ前向きに繋ぐ高知は、注目の大型MF小黒大翔(3年)が精度の高い縦パスを連発するなどリズム。そして26分、左CKを獲得すると、高精度の左足を持つMF吉尾慎太郎(3年)がストレートのボールを蹴り込む。これをニアのCB松岡健成(3年)が左足ダイレクトでシュート。この一撃が左隅に突き刺さり、高知が先制した。

 高知は中盤で小黒が高さを発揮したほか、ボール奪取でも奮闘。攻撃のテンポ、精度が上がらない西武台に対し、小黒と吉尾を起点にDF間へボールを通す高知が36分に追加点を奪う。高橋監督から「あのディフェンスラインを崩すにはアイディアがないと難しい面があるよ」と助言されていた選手たちは、言葉通りにアイディアのある崩し。パス交換から楠瀬のループパスに反応したMF野島唯暉(3年)が、難しい体勢からの右足シュートを決めて2-0と突き放した。

 西武台は後半、選手交代でフレッシュな選手を加えて反撃するが、高知は的確なプレッシングによって相手の起点を潰して見せる。西武台は、MF高嶋亮祐(2年)が思い切りよくシュートを放つシーンもあったが、なかなかギアを上げることができない。高知は安定した守備を見せるGK森亮太(3年)や声でチームを統率するCB林優太(3年)中心とした全員守備で決定打を打たせなかった。

 終盤、前がかりになった相手の背後を突く高知が追加点を奪う。34分、吉尾のスルーパスで抜け出したFW楠瀬海(2年)がGKとの1対1を制して3-0。アディショナルタイムにも吉尾の右CKをファーサイドのCB林が豪快ヘッドで決め、インターハイでの同校史上最高タイとなるベスト16進出を決めた。

 高知の高橋監督は「状況に耳を澄ませ」と選手たちに言葉がけしているという。「原理原則に従った形で、状況に応じて判断していく。状況が教えてくれるから、ということで状況の言いなりになってサッカーをしてやれば基本的には間違いがないよと」(高橋監督)。選手たちは判断を基準としたボールの動かしと、相手の攻撃の芽を摘むプレッシングを最後までやり通して勝利した。

 選手たちにとっても自信となる勝利だ。吉尾は「自分たちのプレーを埼玉のトップの相手に見せられている」と会心の表情。そして、先制点の松岡は「判断は僕たちのストロングポイントというか、関東のチームにはフィジカルとか勝てない部分がある。判断はずっとやってきたことだったので上手くやれてよかった」と語り、「ずっと高知県代表は全国で勝てていなかったので、ここで自分たちがまた歴史を塗り替えたい」と8強入りへ意気込んだ。

 試合後は瞬く間に会場近くの施設へ移動し、各選手が全身をクールダウン。この勝利で満足せず、3回戦でも判断を基準とするサッカースタイルで白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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