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プレミアからの切り替えに苦戦した静岡学園は静岡準決勝で敗退。個人、チームが進化して冬へ

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静岡学園高は悔しさを忘れず、冬へ

[5.29 インターハイ静岡県予選準決勝 静岡学園高 0-0(PK1-3)磐田東高 愛鷹広域公園多目的競技場]

「自分たちの未熟さや経験不足。それが分かっただけでも良かった」。前回インターハイ3位の静岡学園高・川口修監督は、磐田東高の好守を讃え、その後、自分たちの力不足を指摘していた。

 攻めて勝つことにこだわるチームだけに、無得点に終わった時点で負けたも同然の考え。一週間前まで復帰1年目のプレミアリーグWESTを戦い、昨年優勝のサンフレッチェ広島ユースやサガン鳥栖U-18、セレッソ大阪U-18、ガンバ大阪ユース、大津高と強豪を連破して暫定2位につけていた。だが、プレミアリーグでやり合う展開が続いた中、守備的な相手と戦うインターハイ予選へのシフトチェンジに苦しんだ。

 この日は、前半からビルドアップが後ろに重く、中盤の選手が前線に係る動きも少なかったことから、厚みのある攻撃をすることができなかった。U-17高校選抜の10番MF高橋隆大(3年)とMF寺裏剣(3年)の強力な両ワイドが警戒され、またダイレクトプレーも少なく、アタッキングサードの攻略に苦戦。後半は前へ出る姿勢が出て攻撃の迫力が増したが、高橋のカットインシュートがクロスバーを叩いたほか、セットプレーのチャンスも活かせず、終了間際のチャンスもポストと運にも見放され、無得点で終わってしまった。

 ドリブルと左右両足のシュートで違いを示す高橋と空中戦の強さや攻撃性能の高さに注目のCB行徳瑛主将(3年)はともに全国トップクラスのタレント。加えて、今年はこの日PK戦で1本を止めたU-17代表GK中村圭佑(2年)やU-17高校選抜MF白井柚希(3年)ら攻守に実力派が揃う。インターハイでは日本一争いの中心になることが予想されただけに、その敗退は県内外のライバル校を驚かせた。

 川口監督はポジショニングの質の部分を指摘し、「トーナメントを勝ち抜くためにはもっと点を獲る方法を考えないといけない」とコメント。選手権が残っているが、まずはプレミアリーグで通用する選手を育成することに集中する考えだ。

「我々は選手を伸ばすことに重点を置いているので。プレミアで通用する選手、戦える選手、違いを見せれる選手を育てるというのが第一でやっている。プレミアのあのプレッシャーの中で中盤の選手がもっとボールを動かせないといけない」(川口監督)。インターハイ出場がなくなった分、強化に集中できることへ前向き。3年前の選手権優勝時もインターハイ予選敗退から冬へ向けて個人、チームが大きく成長を遂げただけに、プレミアリーグの厳しい戦いをでより逞しい集団になって冬に3年前の再現を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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