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「最後に勝つのは俺らだ!」…那覇西、名護に競り勝ち2大会ぶり17回目の総体出場が決定!!

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2年ぶりに全国総体出場を決めた那覇西高

[6.4 インターハイ沖縄県予選決勝 那覇西 2-1 名護高 タピック県総ひやごんスタジアム]

 新人戦・総体・選手権と主要大会すべてを制した20年大会以来の総体優勝を狙う那覇西高と、悲願の総体初制覇を狙う名護高。「躍動の青い力 四国総体 2022」への出場権をかけた沖縄予選決勝が4日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで繰り広げられた。

 第1シード校として勝ち上がった那覇西は、初戦となる2回戦で与勝高に5-0、続くKBC学園未来高に3-0で勝利。準々決勝では興南高を3-2、そして延長戦までもつれた準決勝の那覇高戦では2-1と接戦をモノにした。

 対して名護はノーシードからの決勝進出。初戦の沖縄工業戦で3-0で勝つと、続く2回戦で昨年度の選手権出場校・西原高と対峙し2-1で勝利。「この1勝が大きかった」と、5年目の石川広武監督が率いる名護は勢いづき、3回戦の豊見城高を2-0、準々決勝の那覇国際高戦を3-1で破り、準決勝では19年に県大会三冠を手にした前原に2-1で競り勝った。

 那覇西の平安山良太監督と名護の石川監督は17年、那覇西での監督とコーチという間柄だった。「那覇西と決勝で戦えるチームを作ります」と、コーチだった石川監督の声に「待ってるからな」と呼応した平安山監督。18年から対敵となった両者の思いはこの日ついに結実した。

 大会期間中は雨の日が多く、決勝の日も雨天は変わらず。しかし水はけの良いタピック県総ひやごんスタジアムのピッチに水たまりはなく、短く刈られた芝生表面が濡れた状態でのプレーはボールの転がりが良くパススピードも早い。試合前から転がり具合を入念にチェックしていた両チームは14時ちょうど、頂点をかけて火花を散らしぶつかった。

 試合は開始早々3分に動き出す。左サイドから攻める那覇西が奪った左CKの場面でキッカーを務めたのは両利きの左SB比嘉隼(3年)。「自分の武器はキック。ゴールを狙う気持ちで蹴った」と、右足インスイングで放ったボールはファーサイド付近で急激に曲がり、GKのファンブルを誘ってそのままゴールへ。準決勝の那覇戦でもCKから決勝ゴールを演出した比嘉の先制点で那覇西がリードを奪う。

 気持ち的にも有利に立った那覇西は左右にボールを動かして相手を食いつかせ、空いた逆サイドのスペースを使って進入する。しかし名護もボールの出どころを潰しながら攻守を切り替え、簡単に主導権を与えさせない。すると、那覇西のプレスに対して連携良くワンタッチパスで巧みに剥がしながら前への推進力を見せる名護が徐々にペースを握ると前半22分、チャンスが生まれる。

 左サイドで高い位置を取っていた左SB呉屋大登(3年)にボールが渡ってドリブル突破。深い位置で相手が触ってスローインになった瞬間、すかさず左ウイングのFW親川響也(3年)がボールを受けてドリブルでボックス内へと進入すると、巧みに敵をかわしながら左足でグラウンダーのクロス。最後はゴールエリア中央へと駆けた右ウイングMF深井呂依がネットを揺らし、ワイドストライカーを中心に連動して切り崩した名護が試合を振り出しに戻した。

 このタイトルにかけるがっぷり四つの戦い。球際に強く向かう那覇西がショートカウンターからゴールを目指せば、名護は味方同士でイメージを共有し相手の守備網を無力化させて背後を狙うというお互いがやりたいサッカーを繰り出す中、同点のまま折り返す。

 後半開始直前、「最後に勝つのは俺らだ!」と声を掛け合った那覇西。「自分たちのサッカーができている!」と手応え十分の名護。栄冠を手にすべくプライドがぶつかりあった後半、雨脚が強くなっていく中でゲームが進んでいく。集中力の維持が難しい状況下、那覇西は両サイドからのクロス、そしてミドルシュートを再三放って名護の守備陣にプレッシャーをかけると47分。右CKからニアサイドを狙ったFW山川輝(2年)の左足に合わせたのはFW新城旭(3年)。「勘で飛び込んだ」と話した新城が放ったヘディングシュートは地面を叩き、そのままゴールへと吸い込まれていった。

 勝ち越したあとも追加点を狙う那覇西。何度もボックス内へと進入しシュートチャンスを作るが、自陣で貼り付けられながらも球際で必死に食らいつく名護は失点を許さない。そして試合終了時間が刻々と迫る中、名護はGKが高い位置まで飛び出してロングボールで打開を図り敵陣へ進入。しかし那覇西も体力ある限りプレスを止めず粘り強い守備を披露し、アディショナルタイム5分が過ぎた頃、ゲームの終わりを告げるホイッスルの音が響き渡り、那覇西が通算17度目となる総体王者へ2年ぶりに返り咲いた。

 大会を振り返り、「一戦ごとに成長している感はある」と平安山監督。ただ「全国と戦うのはもっと一回り、二回り強くならないと。県では圧倒するぞと声を揃えただけに、全然まだまだ」と、準々決勝の興南戦から3試合連続で1点差ゲームを演じたことは、理想と現実とのミスマッチを痛感させられるものであったと指揮官は語る。本大会を前に出場する九州大会で強豪校との力比べを体感しながら、今後全国に向けたレベルアップは必要不可欠。それを肌で知った県大会を糧にしたいところだ。

(取材・文 仲本兼進)
●【特設】高校総体2022

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