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苦しんだ10番が意地の優勝ゴール!前橋育英の158cmFW高足善が全国決勝で輝く!

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後半35+4分、前橋育英高FW高足善(左)が優勝ゴールを喜ぶ。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.30 インターハイ決勝 帝京高 0-1 前橋育英高 鳴門大塚]

 タイガー軍団の10番は、会心の表情で言い切った。「10番としての意地を見せられた、と思います」。チャンスを逸しても仲間や先輩、スタッフの言葉を支えにチャレンジを続けた前橋育英高(群馬)FW高足善(3年=FC杉野Jrユース)が劇的な優勝ゴールを決めた。

 夏の高校サッカー日本一を懸けたインターハイのファイナルは、0-0のまま後半アディショナルタイムに突入。前橋育英高(群馬)はMF堀川直人(3年)からのパスを受けた高足が右斜め前方へドリブルする。

 奪い返しに来た相手DFを巧みに外し、空いたスペースへボールを運ぶ。そして、「コースというよりも気合で」振った右足シュートはGKを弾き、そのままゴールネットに吸い込まれた。

 ボールがゆっくりとゴールラインを越えた瞬間について、高足は「その時は周り見えなくて……、やってやったぞという感じが多くて」と振り返る。今大会は準決勝までノーゴール。決勝でも後半開始直後と12分の決定機でシュートが枠外へ飛び、15分の右足シュートは相手GKの好守に阻まれていた。

 ループシュートが枠を外れた時には「泣きそうでした」と苦笑する。だが、DF陣は「本当にどんどんチャレンジしろと言ってくれた」という。また山田耕介監督は「(後半のクーリング)ブレイクタイムの時も『3回決定的なチャンス外しても、1回決めれば良いんだから。もう一回絶対にある』」と後押ししてくれた。

 諦めずに何度も裏抜けを繰り返し、ゴールを目指し続けた。そして自分を信じて最後までピッチに立たせてくれたコーチ陣に期待に応える1点。結果が出ずに落ち込んだときもあったという。だが、前任の10番、MF笠柳翼(現長崎)の「10番はオマエに与えられたんだから」というエールにも勇気を得て戦った10番が、優勝ゴールを決めた。

 流通経済大柏高(千葉)で活躍した1歳年上の兄、MF高足龍(現新潟医療福祉大)とは異なる進路を選んで成長を目指してきた。「育英来て正解だったし、育英のサッカーに慣れていますし、本当に切磋琢磨してここまでこれたので良かったと思っています」。158cmの小さなストライカー。「小さくてもできる」ことを大舞台で示した高足はここからも結果にこだわる覚悟だ。

「FWは結果が全てなので。1試合1試合得点を獲るつもりで、結果主義で行きたい」。全国決勝で優勝ゴールを決めた10番が今後も注目されることは間違いない。FWとして常に結果を追い求めて、ゴールを連発する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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