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前半苦戦も後半5発。「連携や一体感を意識してやっている」四日市中央工が三重連覇へあと1勝

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危ない場面を何度も止めたDF山本拓弥四日市中央工高が5-0で三重決勝へ

[5.26 インターハイ三重県予選準決勝 三重高 0-5 四日市中央工高 四日市市中央陸上競技場]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技三重県予選準決勝が26日に行われ、三重高四日市中央工高が対戦。FW小林桜輔(3年)の先制点を皮切りに後半からゴールラッシュを繰り広げた四日市中央工が5-0で勝利し、2連覇に王手をかけた。

 スコアだけ見れば四日市中央工の快勝に見えるが、試合内容は決して楽ではなかった。前半に主導権を握ったのは、2018年以来となる夏の王者を目指した三重だ。本来は後方から繋ぐチームだが、準々決勝で四日市中央工がロングボールに苦戦していたことを踏まえ、この日はボールを持ったら素早く相手DFの背後へと展開。「相手のCBと駆け引きをして、裏を抜けられたらチャンスはあるかなと思っていた」と積極的にスペースへと飛び出したFW郭原夏輝(3年)らを起点にチャンスを伺った。

 前半24分にはショートで入れた左CKのリターンから郭原がシュート。25分にはMF海野翔真(3年)、郭原と繋いでPA内にスルーパス。裏抜けしたMF森本倫気(3年)が中央にボールを入れたが、味方と合わない。

「ドリブルは中学から磨いていたので自信がある。抜け出したら絶対に抜いてやろうと思っていたけど、相手が堅かった」と郭原が続けたように、四日市中央工のエリアに入っても、簡単にはゴール前での仕事をさせて貰えなかった。

「三重高は後ろからロングキックで攻めるのが多かった。それに対してファーストで競り勝てば、相手の攻撃は潰れる。ピンチが続いたけどそこでしっかり守り切れたのが勝てた要因かなと思う」。四日市中央工はそう胸を張ったDF山本拓弥(3年)を中心にロングボールをしっかり跳ね返し、無失点のまま試合を折り返した。

 守備では及第点を与えられる出来だったものの、攻撃でなかなか決定機が作れなかったのが四日市中央工の反省点。後半に入ってからはセカンドボールの回収率を高め、三重を自陣に押し込んでいく。後半4分にはDF井村英右(3年)がロングスローのこぼれ球を拾ってゴール前にクロス。MF山口叶夢(3年)が競り合ったこぼれを小林が豪快に決めて、先制に成功した。

「先制点が取れれば(相手の)ウイングが下がって、より有利になるのは分かっていた」。伊室陽介監督の読み通り、1点獲ってからはサイドの圧を強めていく。17分にはMF平野颯汰(3年)のパスから左を上がったDF岩田翔暉(3年)のクロスがオウンゴールを誘発。22分にはMF片岡空良(3年)の左クロスから、MF西脇葉(3年)がヘディング弾を叩き込んだ。終盤には途中出場のMF屋成柾輝(3年)とFW伊藤元太(2年)にも得点が生まれ、5-0でタイムアップとなった。

 今年の四日市中央工には、昨年まで所属していたFW平尾勇人(現・日本大)のような絶対的な存在はいない。「今年は目立ったエースがいないから、全員が繋がっていくしかない。仲も良いので連携や一体感を意識してやっている」(山本)。新チームが発足した当初は不安視されていたが、今は「身の丈が分かって、みんなで戦えるようになってきた」(伊室監督)。頑張れる選手が揃ってきた中で、4月の途中から伊室監督が「点が獲れる野生的な選手」と評する小林が加わり、良いアクセントになっているのも好材料だ。

 連覇まで残り1勝。「去年はインターハイで全国を経験させて貰ったのですが、米子北戦の1失点目は僕の一個手前で防げていたら無かった失点だった。それが悔しいので、今年も絶対に全国へと出て、去年の代を超えて優勝まで行きたい」。そう話す山本だけでなく、選手全員が全国という同じ方向を向いている。決勝の海星高戦もチーム一丸となって白星を掴み取る。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2023

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